プロローグ 招集 緊急だったにも拘らずそこにはすでに何人かの人がいた。カノンはそこで見知った顔を見つけると真っ先に近寄った。 「アークライト先輩?」 そこにはカノンがまだ教導隊に入って間もない頃に指導してくれたアークライトがいた。彼はカノンに気づくと人懐っこそうな笑顔をしてカノンの頭をわしわし撫で回した。 「よう、カノン。お前もこれに呼ばれたのか?」 「はい。先輩もなんですか?」 「まぁ、見りゃわかるだろうがな」 アークライトが少し肩を竦めて見せた。そんな当たり前の会話をしていると、今回この召集を掛けた人物が現れた。 「ハラオウン提督?」 「リンディさんじゃないか」 二人がこそこそと話をしていたにも関わらず、リンディがカノン達の方を見た。それに二人は驚いて身形を正した。リンディはニッコリ笑って口を開いた。 「今回皆さんに集まってもらった理由は…」 ――――――――――― カノンは目の前にいる二人に拝んでいた。 「ホントにゴメンネ。今日はホントはもう休暇になるはずだったのに」 「気にしないで下さい。任務だったら仕方がないことですから」 「別に慣れてることだからいいんじゃないか?」 「今度、ちゃんとなのはちゃんとヴィータちゃんに埋め合わせするからね」 涙目になって謝ってくるカノンに二人はどっちが上官かわからないなと内心苦笑していた。 リンディが持ち込んだ話とは最近発見された古代遺跡発掘調査だった。その編成部隊が三つ。一つはカノンが指揮する部隊で、そこにはなのはやヴィータが加わった。先程一緒だったアークライトは別働隊に配属された。カノンが指揮する部隊は副指揮官に本局のエースのなのはが抜擢され、カノンとしては失敗できないなという感じで緊張もしていた。 「足を引っ張ったらゴメンネ」 「そんなことないですよ。カノンさんはちゃんと指揮官の資格を受けたじゃないですか」 「お前、もっと自分に自信を持ったらどうなんだ?」 さすがにヴィータが呆れて言った。さすがに二人にそう言われるとカノンも心配し続けるのは突かれると判断し、自らの頬を叩いた。 「うん、頑張るよ」 カノンが笑ってそう伝えると二人もつられて笑った。 . [*前へ][次へ#] |