私達は立つ!
恐劇、狂劇。
「あたしはここにいるよ。って言うために帰りたいの。過去に。」
「託された、ってなんだよ。まるで…」
少年は言葉を濁したが、幸ははっきり、そうよ。と言った。
みんな、生きているか解らない。全ての紋章が私の所に来ているから、みんな、きっと……。
励ます声は聞こえはしない。
優しい陰は帰ってはこない。
暖かいあの愛情は帰らずに。
綺麗な虹彩はもう見れない。
導く人は私の隣に立たない。
思いばかりが募っていって。
思い出が色を失い始めてて。
苦しい思いが溢れてばかり。
「デジヴァイスも反応しないから、きっともう、いない。」
スカートのポケットに入れた四角の機械は反応を示さずに、沈黙を保ったまま光も何も放たない。
「紋章は、誰かが居なくなれば自動的に引き継がれるの。個性の一つだけど、居なくなれば、平気的に一個性も似たような選ばれし子供に偶然のように必然のように、また導かれる。」
そういう結果が、出てるから、きっと。みんな、居なくなった。だから、残った私は、戦うの。
「戦うって、何と。」
「弱い私の心と、ウイルス種のデジモンと。」
ウイルス種とデータ、ワクチン種は戦争を起こしていたかは、私達はそれを止めるために、全ての根悪ヴァンデモンを倒しに行こうとしてたの。
「進化一つで勝てると思ってたんだもの。そりゃあ、負けるわ。」
ボロボロになってね、ファイル島まで逃げて、お城の中のゲートはまだ壊されていなかったから、そこから帰ろうとしたの。
そして、そこで幸は口をつぐむ。記憶が蘇って、鮮やかな色を描き出していく。…詳しくは、闇色だけだが、デジモン達の放つ攻撃が時希に明かりのように、壁を照らしていく。
「ヴァンデモンがそこまで来てる!」
「走れェエエ!」
「呼出武器-メイクアップ・ウエポン-。風揺らぐ塊風!」
「暫くは大丈夫だけど、時間稼ぎなだけよ。早くゲートを!」
「ゴマモンかアグモンか、サッサと決めろ!宏樹!」
「急かすなぁ!導け、アグモン!」
恐劇、狂劇。
(カードを間違えた。だと)(だから、このウサギ耳はひっついて、私はこの場所にたっているのよ)(え、幸ちゃんデジモンなの)(…まぁ。そうなるわね)(もっと焦ろうよ幸ちゃん)(いや長年これだし。慣れちゃうわよ。)
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