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私達は立つ!
20150801

複雑な運命を辿った先代の選ばれし子であり間違えたゲートを辿り、時間を越えて、デジモンと混ざり、また人間に戻れた子。匹野幸は、当代の選ばれし子達と少し暗い森の中を歩いていた。

「幸ー。どこにまで行くんだよ」

もうすこしよ本宮くん。もうすこし先がすべての始まりよ。と少し辛そうに笑った。そして大きな木を二つ越えた先で、幸の足が止まって振り返る。
「ついたよ。」そんな声とともに視界は広がって、少し広い広場がそこに有った。一同が疲れたと言わんばかりに、広場にシートを広げ腰を下ろして一息着くと、伊織が疑問を口にした。

「幸さんは、どうしてここに僕達を連れて来たのですか?」
「しって欲しかったの。」

私達の始まりの場所を。
そう呟くと、当代の子は互いに顔を見合わせた。そんなに、なんとなく覚えてて欲しかったの。と言う言葉を置いてから、カイモンを抱き寄せる。

私とカイモンが出会ったのも、ここ。私達の目の前で生まれたの、みんなのパートナーが。始まりの町でしか生まれない。と聞いてたんだけど、どっちかって言うとブイモン達に近いのかもね。私も結構記憶が曖昧だったんだけど、来られて良かったな。
誰も居なくなってしまったけど、きっと私みたいになってみんな生きて…はないか。
小さく笑って遠い空を見て昔を思い出すと、ちょっと目頭が熱くなって、袖で目を拭っていると、幸のデジヴァイスがなった。

「幸さんのデジヴァイスが」
「鳴った…」

鳴らないと思っていたのに、どうして。と思いつつデジヴァイスをちらりと覗き見れば、そこに小さな点と希望の紋章が浮かんでいた。

「幸ちゃん、行こう!僕らの希望の紋章だよ。」

きっといいことがあるよ。
キラキラと目を輝かせるタケルに、幸は行こう。と、促す。

行きたい。でも怖い。紋章に願いながら動いてみんなに会えて、カイモンに会えたのに。嬉しいのに、これ以上幸せになったら、バチが当たっちゃいそう。

きっと耳があったなら、ぺたりと顔に張り付いてそうなほど眉を下げて幸は、立ち上がる。

「幸、行こう」
「なにがあっても僕が戦う。ダイスケたちみんなだっているんだ、怖いものなんてないよ!」
「だね、行こう、カイモン。希望の下に」

私達は立つ。
諦めないことが希望。信じ続けるのが希望。

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あきゅろす。
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