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桜の華


「卒業しちゃいましたねぇ」
「そうだな」

目の前にいるイケメンは今も胡散臭い笑顔を俺に向けている。
明日からは別々の道を歩み出す俺達。
古泉は一流大学にすぱっと合格し、俺はその辺にある可もなく不可もなくな大学へなんとか合格できた。

お互い、同じ県内に進学はするのだが、全く違う道になる。
もう、関わることもないだろう。

「ま、何かあったら連絡くれよ。なんだかんだ言って、日本に残るの俺とお前だけだし」

朝比奈さんは未来に帰ったし、ハルヒは留学、長門はハルヒと一緒に行動するらしい。
つまりSOS団で残るのは俺と古泉だけだ。
そりゃあたまの休みにはハルヒと長門は日本に帰ってくるだろうが、ずっと国内にいる訳もないし、いつでも会える訳でもない。

「ええ、ですから僕考えたんです」
「何をだ」
「だからこそ一緒に居たいと。運よく同じ県ですし、一緒に生活しましょう」

…………はいっ??
今なんと言ったこいつはなんと言った俺と一緒に生活しましょう?一緒に居たい?
何を馬鹿なこと言ってるんだそんなこと……

「俺も思っていたことだよ」


運よくなんてんな訳ないじゃないか、お前の近くにいたくて、同じ県の大学選んだに決まってるだろ。
恥ずかしいから言わないが、俺は凄く、お前が好きなんだよ。

「僕も、好きですよ」
「なんで僕も、なんだ。俺はお前を好きなんて言ってないぞ」
「言ってますよ、顔で」

くすくすとさっきまでの胡散臭い笑顔じゃない笑顔で古泉は言った。

「あと、あの時はいっぱい好きとか気持ちいいとかって言ってくださいま……あ痛っ」

阿呆なことを言いやがる古泉にきつめのチョップをかましてやった。


「ちょっとー、キョンに古泉くーん!なにやってんの、早く来なさいっ!!」

俺達は顔を見合わせてから走り出した。






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