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オンリーワンチョコ下


「で、だ。一体お前何人から貰った」
「……何人でしょうね、僕はキョン君から以外は興味ありませんから」

古泉宅につき、鞄を下ろすと俺は古泉にそう尋ねた。
俺から以外からの物には興味ないの言葉に、少し嬉しさを感じながら、表面ではそれを出さないように頑張っていた。

「そういうキョン君もいくらかチョコ貰ってましたね」
「義理だろうけどな」

お前のはほぼ本命だろ。
義理と本命のチョコの重さなんて小石と岩ほどの差があるさ。
まあ、貰えないよりは貰えた方がいいが。

「貴方の貰ったチョコ、半分は本命ですよ」
「はぁ?んな訳ないだろ」

と思って鞄の中に入っているチョコを見る。
十個ある箱を見つめながら、どれが本命だどれが。と思った。
クラスの女子から貰ったのは全部義理だし、ということは先輩から頂いたものが全部本命ということになる。
それはない。

「ホワイトデーにはお返し、するんでしょうね」

ちょっと妬けます、なんて言いながら俺を抱きしめる古泉。
渡すなら今がいいかもしれない。俺からの、チョコレート。

「古泉、これ……やる」

鞄の奥に入れていたチョコレート。
見た目は悪いかもしれないが、味は保証できるぞ。

それを古泉の目の前に置くと、ふわりと嬉しそうに笑った。

「ありがとうございます」
「義理…じゃないからな」

ぷい、と横を向いてそれだけを言う。
ああ、絶対耳も真っ赤になってるだろう。
横目で見た古泉が幸せそうに笑っているから、俺も幸せだ。

「で、キョン君のチョコとキョン君を僕は頂けたのですね」
「はっ?」
「明日は一日離しませんから」

そう言って俺を押し倒してくる古泉は、器用にも片手で俺のラッピングを開け、中からチョコを取り出し俺の口に含ませる。
その後すぐに古泉の唇が重なり、俺の舌の上にあるチョコへと舌を絡ませる。

「ん、……んぅ」

チョコが溶けてなくなっても、古泉は舌を俺の舌に絡めてくる。
そのままちゅうちゅうと吸われ、頭がぼーっとしてきた。

「ふふ、美味しいですね。もっと味わいたい。これも食べましょう?」

差し出されたのは古泉の貰ったチョコレート。
――嫌だ、俺の、俺のチョコレートだけを食べて。
他の人のなんて食べないで。

「これ以上やったら、お前なんか嫌いになってやる!」

ふん、と横を向いて古泉の視線から逃げる。
しかし何故か上からぎゅうっと抱きしめられる。
なんだ、なんでいったいどうして?

「ああもうっ、大好きですぅぅぅ」

嫉妬したキョン君可愛い!だなんて馬鹿げてる。
だがまあ、俺だけを求めてくれるならいい。

ぎゅぎゅっと抱きしめられながら、そう思った。






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