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オンリーワンチョコ上
チョコは〜の続き


バレンタイン前日。
バレンタインは土曜で学校も休みだから、今日を皆はバレンタインとしているらしい。
言うまでもなく今日まで古泉からのチョココールは続いていた。
うざったらしいことこの上なかった。

で、その古泉だが現在もどこかで女の子から呼び出しが掛かっているらしい。

「古泉くんは幾つのチョコを貰ってくるのかしら?楽しみだわっ!」

ハルヒの目がキラッキラして扉を見つめている。
かれこれ十分くらいその状態だ。
因みに俺は悲しいことにクラスの女子数人からの可哀相だから仕方なくあげるわ義理チョコと、先輩方から幾らか貰っただけで数は少ない。
八個くらい、だな。

国木田は先輩方から多大な人気があるため沢山貰っていた。が、本命からは貰えなかったとか言ってたな。
あいつに本命がいたことにビックリしたさ、俺は。
因みに谷口はクラスの女子からも頂けなかったようだ。
すまん、それはお前の日頃の行いのせいだ。俺にはなんの罪もない。
だから俺や国木田を責めるのはお門違いだ。


「あんたは放課後に誰からも呼び出されない寂しい奴なのね」
「あー、しっかし古泉の奴遅いなぁ。一杯貰ってるんだろうな」

寂しい奴ではあるがそれを認めるのは釈に触る。
それもこれも、古泉が呼び出されてるのが悪い。

「……すみません、遅くなりました」

がら、と扉は開きやや疲れた顔(といっても俺以外は気付かないくらいだろうが)の古泉が部室に足を踏み入れた。
いつも持っている鞄だけでは入りきらなかったのか、もう二つ紙袋が増えていた。
その二つさえもぎっしり包装紙が詰め込まれている。
軽く見積もっても五十はありそうだ。

「やっぱり我がSOS団の副団長ね!凄いわっ」
「お褒めに預かり、光栄です」

あーあ、やっぱりこれ要らなかったじゃないか。
鞄の中に入っている四角い包装紙を指でなぞる。折角作ってやったのに、古泉はもう要らないだろう。あれだけ貰ってるし。
ああそう言えば今年は逆チョコが流行なんだっけ?
じゃあ俺からハルヒに……。

「それは駄目」

ハルヒに渡そうと思った時、長門が俺を止めた。
何でだ、ハルヒにあげたら閉鎖空間も出来ないし、一石二鳥じゃないか。

「きっと後悔する、それに相手に失礼」

む、確かにそうだな。
だが、これはどうすればいい?
自分で食うべきなのか、それとも廃棄処分すべきなのか。

「あげると良い。きっと喜ぶ」
「いや、だが……」
「有希にキョン、あんたたち何の話してるの?」

古泉と夢中に話していたハルヒだが漸く俺と長門が話していたことに気付いたらしい。
話の内容は聞かれていなかったみたいだから、適当にごまかしておいた。

「あ、そうだ。可哀相なキョンに私たちからよ。はい」
「ありがとな」
「百倍返し、楽しみにしてるわ!」

さあ、今日はもう解散よー。とやることは全てやり切ったというハルヒが高らかに宣言したことで集団下校となったわけだが、隣を歩く古泉はやはりチョコが重いらしくどんどん女性陣と離れていっている。
仕方ないな、このままじゃいつ家に帰れるかもわからん。

「鞄貸せ、家まで運んでやるから」
「それよりキョンくん、チョコ……」

そのまま鞄を引ったくり、古泉の言葉は総無視させてもらった。
今何か口にしたら色々ばれそうだ。
こんな可愛らしいラッピングの施されたチョコに、嫉妬してるなんてばれたらまずい。いろんな意味で。






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