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囚われた鎖13


「よし!」

半日寝たおかげか酷かった鈍痛も大分楽になった。
ベッドから起き上がり、ドアへと歩を進める。
鍵は掛かっているだろうが壊せば関係ない。
とりあえず一度確認のために廻してみると、ガチャリと言って扉が開いた。

「……無用心だな」

これはなにか古泉の思惑があるかもしれない。だが、こんなチャンス一度逃せば二度はない。
それなら一か八かで大勝負に出るのもいい気がする。

「っ!コイツはボスが連れて来た奴じゃねぇか!」

古泉の部下らしき男が俺に気付いて近づいて来た。
部屋へ帰れ、という感じだ。
悪いが俺は自分の部屋に帰りたいんだ。
つーか任務の古泉を倒して帰りたい。

「はぁ……死ぬなよ」

多少痛め付けるくらい正当防衛で許されるだろう。半死半生くらいは許してくれ。

「畜生!ナメやがって!!」

男がナイフを持って俺に向かって走ってくる。
真っすぐにしか攻撃できないのかね、コイツは。
ひらりとかわすと男は勢いのまま前のめりになってこけそうになっていた。すかさずそこへ手刀を入れ気絶させる。
命には別状ないだろう。

男が持っていたナイフを奪い、他にもいい武器はないかと物色してみたが特にいいものは持っていなかった。



しかし、部下を待機させるならもう少し手応えのある奴を置いてほしかった。
弱すぎて話にならない。





「お前は、俺を楽しませてくれるか?」

誰もいない方向へと話し掛ける。
いや、居ないというのは語弊があるか。
暗闇の向こうに一人、気配があるのだから。
先程の相手のような弱い奴では面白くない。
もっと……俺をワクワクさせるような奴と戦いたい。

「さあ、どうかな。私にはわからないけど」

暗闇から現れたのは女だった。
が、安心は出来ない。
女でも強い奴は強い。

彼女の武器はカッコイイ感じにクナイだ。
忍者のようなその武器、使い勝手がよさそうだな。

「ボスに貴方と戦うことは止められているの。けど、こうなったらそれも無効。ボスの留守中に逃げ出すんですもの、お灸を据えるくらい許されるでしょう?」

強気な彼女の視線と言葉に、笑みが零れる。
これくらい強気の相手じゃないと面白くない。

じゃあ……戦闘開始といこうじゃないか。


「お手柔らかに」
「殺しはしねぇから安心しろよ」

彼女は元居た場所から消えた
。……違う。上、だ。
見上げると上からはクナイが襲い掛かってくる。彼女は居ない。

「……っ、下か!」

上と下からの攻撃は非常に有効だ。
上を避けきれても下も避けるのは難しい。
俺は彼女から間を取る為襲い掛かるクナイに向かって飛んだ。
ナイフを駆使してクナイの軌道を変える。
致命傷という怪我は無いが、頬に少し当たったようで血が滴る。

「気をつけなさい?毒でも塗ってたら貴方死んでるわ」
「あんたが俺を殺すわけが無いからな。それに……」

彼女の足に先程軌道を変えたクナイが刺さる。
自分も当たったからわかるが、クナイの先はとても鋭利だ。
痛いだろう、俺も痛かったからな。
これで彼女の足は防げた。
痛みに顔が歪んでいるのを見ると少し後悔するがそんなのは後からでも出来る。

「わりと楽しめたぜ、だからちょっとお休みしてくれな」

彼女の背後に周り、首の後ろに手刀を入れる。





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