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寂しい背中26
オリジ(古泉の元カノ)×キョン描写あり
でもちゃんと古キョンです。




「キョンくん……」

古泉と気持ちが通じ合った二日後の放課後、コイズミを作る原因となった彼女に呼び出された。

「古泉君が、私なんかもう要らない……って」

泣きながら俺に纏わり付こうとしている彼女を前なら俺は拒絶しなかっただろう。
だが今は、全貌を知っているからそうは出来ない。
さりげなく引いて拒絶すると、まるで信じられないという感じに見上げてくる彼女。

「古泉が、そう言ったのか?」
「古泉君、一杯彼女が居るみたいで、私は飽きたって。痛め付けられても、何されても好きだったのに……」

古泉に一杯彼女がいるだなんて、よく言えたもんだ。と思う。それは古泉の表面しか見えていない、ということだ。
あいつがそんな器用なわけがない。機関やら何やらで忙しいあいつがその上彼女を一杯作るのはそれこそ二つ体がなければ無理だろう。

「古泉からも話を聞いたんだが、どうも話が噛み合わないんだ」
「それは、古泉君が嘘をついているから……」
「あと、火痕。古泉は煙草吸わないから有り得ない」

彼女とそこで目を合わせるとしまった!という表情をしていた。
小さな綻びだが、そこから崩すのはたやすいこと。

「それに、あれだけ殴れば手に怪我を古泉もしなきゃおかしいんだ。にも関わらず古泉の手は綺麗だった。どうしてか解るか?」

俺を殴った古泉の手は軽く鬱血していたり切れていたりしたから俺よりも殴られ痕のある彼女を殴ったら傷が出来るはずだ。

「それは……っ」
「古泉が殴ってない証拠だろ?悪いけど、俺は古泉を信じるよ」

そこで教室から出ようと彼女に背を向けたのだが、後ろから舌打ちが聞こえてきて一度足を停め、振り向くと。
彼女はあろうことか俺を押し倒した。

おいおい、俺はなんで女子にまで押し倒されにゃならんのだ。

「私、貴方が好きなのよ」
「悪いが俺には好きな人がいるんだ」
「それでも構わない。ねぇ、一回シましょうよ。私上手な自信あるわよ」

彼女はセーラーを脱ぎ、これみよがしに上半身をブラジャー一つにした。白い肌に、朝比奈さんまではいかないがある程度盛りのある胸がさらけ出される。

「ほら、触ってみたいでしょう?生で触ってもいいよ、キョン君になら」

俺は彼女へと手を伸ばした。
男だし、物凄く触ってみたい。


「悪いが、俺はそんな簡単に体をさらけ出す奴は嫌いなんだ」

伸ばした手は彼女の胸ではなく、肩に置き力いっぱい引きはがした。
見るに堪えられないたわわな胸は自分のブレザーを掛けて隠す。

「ごめん、でももっと自分を大事にしなきゃダメだ。自分で自分を痛めたり、こうやっても傷つくのは自分だ」
「っ!どうして!どうして私じゃ駄目なの?」

「そうじゃない。俺は多分あいつじゃないと駄目なだけだ」

ブレザーは明日返してくれたらいいから、と今度こそ出ていこうとすると後ろから彼女は「古泉君は貴方のこと好きなのよ。そっちのほうが気持ち悪いでしょ」と叫んだ。

「それが気持ち悪いかどうかは、俺が決めるよ」

尚も何か言いたそうな彼女が口を開く前に、廊下へ足を踏み出した。

「よう」
「……会長」

廊下を曲がった所で会長は俺が来ることを見越していたかのように声をかけて来た。
その瞳には、どこかホッとしているように見える。

「よくあの誘惑に堪えたな。それも古泉への馬鹿げた愛、か?」

言葉だけをきくと、揶揄しているように聞こえるが、その言葉の裏側には安心があるのが解っているからあまり気にならない。

「彼女の件だが、あとは俺に任せとけ」
「はっ?」
「面倒臭ぇけどな、古泉には借りがある。それともお礼に何かお前がしてくれても構わないぜ」

目を丸くして会長を見ると、冗談だ、とすぐに言って俺の横を通り過ぎていった。
ふわりと香る煙草のにおいは好きにはなれないが、会長自体は好きだ。
……友好的な意味で。


多分会長を派遣したのは古泉だろう。自分が表立って動けないことをよく理解しているから会長を使うのはどうかと思うが。



次の日。
会長が何をしたのかはしらないが彼女は俺に上着を返した際に小さな声で謝ってきた。
何をしたのかなんて、怖くて聞けないが。





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あきゅろす。
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