[携帯モード] [URL送信]
寂しい背中25


俺の一世一代の告白に何の反応も返さない古泉。
もう本当に見てられなくてぷいっと顔を反らした。

「あの…それ、本当ですか?本気で、僕の事を……?」

戸惑った口調で確認をするなんて……狡い。
更に顔に赤みが増したように感じられる。
くそ、なんでそんな嬉しそうに言うんだよ。
いや、なんでかは分かるけどさ。俺だって嬉しかったんだから。

「〜〜もう二度と言わん!」

近くでくす、と古泉が笑った。
それが無性に腹立ってなんだよ!?と振り返ったら古泉に抱きしめられた。

「僕も貴方のこと、愛してますよ」

耳元で無駄に色っぽい声で囁いてこられて、更に赤みは増した。
それを間近で見た古泉はふふ、と笑ったかと思えば頬にキスしてきた。
……おい、今更頬かよ。
とか言うツッコミを入れたら空気読めてないと思われそうだから入れないでおいた。
頬にした後、おでこ、手にもキスをし、最後に唇へと。

まるでそれが何かの儀式かの様に、優しく。

「回り道、してたみたいですね」

僕たち、と嬉しそうに言う古泉にそっと抱きしめ返す。
俺も古泉も勘違いをしていた。というのが一番の回り道だったのだろう。
きっとあの暴力的なコイズミは日頃彼女の文句によって溜まっていた鬱憤が爆発して、だろう。
まあ、あのコイズミも好きと言えば好きなんだが。暴力的、といったが芯はやっぱり古泉で優しかった。

「そう言ってもらえて、彼も光栄でしょうね」

少し嫉妬しますが。
にこ、と微笑み俺の頬を優しく撫でたのは、コイズミだ。

「……だから、無駄だって言ってるのに」
「おや、やっぱりバレましたか」
「バレバレだ」

もとよりバレるのは承知だったのだろう、差ほど驚かずにコイズミは笑った。
前までの暴力的な瞳はどこへやら、普段の古泉と違うところは俺にしか解らないだろう、と思う程穏やかなそれになっている。

「貴方とコイズミとして会うのは最後です。僕は僕と同期されます。その前に……」

そこで言葉を止めると、優しい口付けを落とされた。
触れるだけのソレ。
次いで優しく抱きしめられ、耳元でさようならと囁かれた。
それから、僕も貴方が好きだったとも。

「俺もだよ、馬鹿野郎」

古泉もコイズミも、どちらとも好きだった。
もう会えないなんて、寂しい。だけど、そうなるのは解っていた。コイズミはあの時の長門のバグみたいに作られたものだろう。

「大丈夫ですよ、彼も僕の中に生き続けてますから」

だから、悲しまないでください。

「古泉……俺、本当にコイズミが好きだったんだ」

やることなすこと無茶苦茶だし、ちょっとやり方がアブノーマル過ぎるし。

でも、意外と優しいところもあって、多分お前がいる手前下手に手を出せなかったんだろう。
あんだけ無体を働いたにも関わらず突っ込まれることはなかったということは、さ。

「……知ってます」
「だけど、俺は一番古泉。お前が好きだ」

コイズミよりも、家族よりも、ハルヒよりも。
誰よりお前が好き。

今まで溜まっていたものがするすると吐き出されていく。

「だから、何されたって許せたんだ。多分……これからも」

先程から必死に隠そうと頑張ってはいるみたいだが、瞳に情欲の炎が含まれているのは知っているんだぞ。

そう言った後に古泉が濃厚なキスをかまして、俺を押し倒したことは言うまでもない。


え、その後?
俺と古泉だけの禁則事項だよ。


End





前←次→
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!