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寂しい背中22


少しして、古泉の目の大きさが戻り、ぱっと見は落ち着いているポーカーフェイスないつもの古泉なのだが、内心はまだ動揺中なのだろう、迷った風にたまに、視線をうろうろさせている。
しかし一度深呼吸をすると、何かを強く決心したかのような表情に早変わりした。

「なら、貴方は気まぐれで唇を許したのですか?」
「まあ、そうなるな」

俺の返答によってか、古泉の手に力が入り、痛い。
痛みには案外耐性はあるほうなのだが、この痛みから古泉の痛みまで伝わってくる感じだ。
……そんな訳は無いのだが。

「今更、だろそんなの。お前の身体でもお前じゃないんだから気にしなくても良いんじゃないか」

瞳を反らしたまま言った。
とてもじゃないが目を見ながらは言えない台詞だ。

告白、しようと思っていたのだが出来ない。


こんなに古泉を嫌がらせているんだから、告白なんてしちゃダメなんだろう。

「そうではなくっ!」
「じゃあなんだよ?俺はお前が解らねぇよ!」


理解できない、解らない。
解りたいのに、解らないんだなにも。


古泉の腕を振り払うと、少し傷ついた顔が目の前にあり、後悔した。

しかし傷ついたと思う表情は消え、まるであっちみたいに表情が消えた。
何も考えないように、無理矢理理性で感情を押し殺した感じの表情に苦しくなる。

古泉にこんな表情は、似合わない。

「……部屋に行きましょうか」

冷たい視線に促され、大人しく靴を脱ぐとグイッと手を引っ張られ、バランスを崩しながらも転ばないようにだけ気をつけた。
近視感を少々…いや、かなり感じながらも先をズンズン進む古泉が怖くて文句の一つも言えやしない。

リビングを抜け、俺には忌ま忌ましい記憶しか残っていない寝室へたどり着いた。
そのままベッドの方へ突き飛ばされ、柔らかな布団とご対面することになった。

「気まぐれだと言うのなら、僕にも起こしてくださいよ」

俺に馬乗りして言う台詞か、それ。
どこからどう見ても俺に逃げ場所は無く、絶体絶命大ピンチ、だ。一部俺にとってのチャンスでもあるが。

「お前だけには、何があっても気まぐれなんて起きないね」

逃げ場所はないが、それでも詰まらない意地が俺を襲う。睨み上げながらでも、体勢は向こうの方が有利だからか、どこ吹く風、全然痛くも痒くもないと言った感じで見下ろしてくる。

「それでも、貴方は僕を本気では拒めないでしょう?」

大切な『団活仲間』ですから、だなんてそんな爽やかに言うものじゃないだろ!
だが、半分以上図星だったので睨むだけで言い返せなかった。
それを見て、また愉快げに口を歪ませる古泉に、ムカついた。

「拒まれないなら、そこを突くまでですよ。気まぐれなんて僕が起こさせますから」

俺のシャツのボタンをひとつひとつ勿体振って外し、冷たい指が俺の肌を辿る。
抵抗しようと振り回した腕は、古泉の制服のネクタイを手繰り寄せられ、一つに縛られている。足は古泉の体重と重力により、身動きが取れない。

「こんなこと、許されるわけがない。今ならまだ間に合うから……退けよ」
「もう間に合わないんですよ、僕たちは」

古泉の指がツンとその場所を主張している二つの突起におもむろに触れた。片方はゆっくり焦らすように刺激を与え、もう片方は痛いくらいに捏ねくり回される。
その右と左のアンバランスな刺激に、腰がズクン、となってきてしまったのは悲しい男の性ではないのだろうか。

「も……いい、加減悪…い冗談はやめ、てくれ…!」

気を抜けばあられもない声を上げてしまいそうなのをぐっと堪え、せめてもの抵抗を試みた。

「悪い冗談では済ます気はありません、僕は本気です」

きつく捏ねくり回され、もう片方より赤くぷっくりと主張したそこへ唇を寄せ、空いた手でかちゃりとベルトのバックルを外し、下着もろとも全て一気に下ろされる。握り込まれた俺自身の先端には触れる前からもう体液を滲ませていて、それを見せ付けてくる古泉がやけに楽しそうで、悔しい。





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