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嘘の皮2


もうイけるところで固い声が聞こえてきて、顔を上げると厳しい表情の古泉がいた。

「こ、古泉……っ!」

見られた、ばっちり見られた。
万が一見えていないとしても声でばれているだろう。それに、古泉はかなり頭の切れる奴だ。
俺が何をしているかなんて、わかっているだろう。

「何を、しているのか聞いているんです」

それも僕の椅子の上で、と古泉。
じっと俺を睨むその瞳には嫌悪感が滲み出ていた。ああ、泣きたい。どうしてこんな厳しい視線を投げられているのに俺のモノは勃ち上がったままなんだ。普通萎えるだろ、人に見られて興奮するなんて、変態じゃないか。

「…………っ」
「答えられませんか、良いですよ貴方がその気なら僕にも考えはあります」

答える気がないことに気づいた古泉はにやりと厭らしい笑いを浮かべ、俺に近づいてきた。
きっとこの鼻につく嫌なにおいの正体にも、俺のしていることにも気づいている筈なのに、それにも関わらず。
そして俺と向かい側……いつも俺が座っている席につくとまた笑いながらオセロの石を並べはじめた。

「僕との試合を思い出しながらされていたのでしたら、今ここで試合致しましょう。僕が黒で貴方は白。ああ、貴方はきちんと先程までされていた通り、右手で試合を、左手で自慰を行ってくださいね」
「ことわ……」
「拒否されるなら、僕は今ここで貴方を無理矢理犯します。慣らしもせず突っ込まれたら痔になっちゃうかもしれませんね」

事もなげにさらりと言われた言葉に、恐怖を感じた。古泉は嘘や冗談をよく言う奴ではあるが、今回のこの表情は……マジだ。
俺は大人しく右手に白の石を持ち、左手を自身に添えた。
こんな状態にもかかわらず、俺のモノは萎えずに存在を主張していた、恥ずかしい。

「では、始めましょうか」














試合は古泉が珍しく圧勝した。というよりも俺が自爆したといった方が正しい。
熱に浮された頭で考えた場所は、ただの悪手で、そこからぽんぽんっと取られていった。
負けたのは久しぶりだ、凄く悔しい。だがそれ以上に恥ずかしかった。
古泉が一手打つ間も俺が一手打つ時も左手は絶えず動いていたからだ。
目の前に大好きな古泉がいて、時折こちらの表情を窺っているという、オセロのときにはお決まりのシチュエーションなのに、どういう訳かそれに興奮してしまった。

「……はっ、ぁ」

小さく喘ぎが漏れる。こんなの古泉は聞きたくないはずだ。
先程の古泉の反応を見ればわかる。古泉は俺を気持ち悪いと思っている。

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