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猫の恩返し4


ばたばたと隣の部屋に走っていった。
途中でびたん!という音とかどーん!とかいう音が聞こえたが何の音だったのかは俺にもわからない。


「は、はぁ……ふぅ、どうぞ」


帰ってきた古泉は少し髪が乱れ、たんこぶが出来ていた。
たかが隣の部屋に行っただけで、どうしてたんこぶが出来るんだ?
それを聞こうかとも思ったが今はそれよりも先に下着を替えたかったのでありがたーく奪い取って着替えようとした。んだが……


「なあ、なんでそんながん見してるんだ?」


古泉が食い入るように俺の方を向いていたので着替えることは出来ず。
それを指摘すると、真っ赤になって顔を背けたので、顔が赤くなったのは気になったがそのまま着替えることにした。
下着は勿論新品だったぞ。
あ、あと下着だけじゃなくてジャージも渡してくれた。
足の長さの差をこんなところで感じるなんて悔しいな。


その後残っていたご飯をもぐもぐ食べた。
古泉がちらちらとこっちを見てきてウザかったと言うことを追記しておこう。








「うーん、眠い…………」


ご飯を食べたら何故か眠くなってきた。
むにゅむにゅ言ってると、気を使ってくれたのか古泉が寝室へ案内してくれた。
そのままベッドに横になると、ふんわりと古泉の匂いに包まれ、安心した。
……安心?なんでだ?


「では、よくお休みくださいね」


ふわりと頭を撫でられ、そのまま古泉は寝室を出た。
ああ、勿論ついでのように猫耳を撫でられたのは言うまでもない。


寝室のドアが閉まると同時に俺の意識は沈んでいった。


「んー……」


もぞ、っと寝返りを打つと寝る前まで感じていた違和感がなくなっていた。
あれ?と思い、頭を撫で撫でしてみると猫耳がない。
嬉しくて寝室のドアを開けて古泉に報告しようとした……のだが、古泉はリビングにはいなかった。
どこにいるのだろうか、と考えていると微かな光が寝室とは逆方向の部屋から射しているのを見つけた。


「こいず、みー」


こっそりとドアを開け、小さな声で古泉を呼んだが古泉らしき影はぴくりとも動かない。
ソファに横になっている……寝てる、のか?


近くに寄るとやはり寝息を少し立てて寝ていた。
眠かったんなら俺の横に入って寝ればよかったのに、こんな所まで気を使いやがって。
少しムカついたので頬をつんつんとつついてみた。


「ん……」


はぁ、なんとも色っぽい声が漏れましたよ。
この声携帯で録音して女生徒に売ればいいお金になりそうだな…って違う!!!!
まあ、頬をつついても起きないくらい疲れているみたいだから起こすのも申し訳ないな。


外を見るともういい時間だ。
つーか、朝寝たのに起きたの夜かよ。
朝食のお礼に、夕食を作って待っていてやろう。
色々なお礼も兼ねて、な。






冷蔵庫を開けると何故かカレーが作れそうな具があったので、カレーに決めた。
古泉の方が色々とカレーを作るのは上手そうだが、俺だってやれば出来るんだというところを見せなければ。
だから、今はゆっくり寝とけよ。
俺の、感謝の気持ちの篭ったカレーが出来るまでは……。





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あきゅろす。
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