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囚われた鎖30


「貴方の言うお兄さんは、僕の……叔父だったんです。亡くなる少し前に、叔父が貴方について僕に話してくれました。可愛くて、でも可哀相な子で、まるで僕を見ているようだと」

……でもまさかそれが貴方だったなんて、思いもしませんでした。と震えながら言う古泉。

ああ、そうか。
お兄さんを少し懐かしく思ったのは、古泉が似てたから。
抱きしめ方とか、ちょっと古泉の方が乱暴だけど、似てるから。

「叔父は、僕に優しくしてくれた唯一の人です」

お兄さんが亡くなってから、親の暴挙は始まったらしい。
お兄さんが古泉の両親を牽制していたから、お兄さんが死んで牽制する人間がいなくなったから。

……ん?
お兄さんが死んだのが俺が小五の時として、古泉が親を殺した年齢が小四だから計算が合わない。
しかもその数年前から古泉は親に物として扱われていた。

「古泉、お前今何歳だ」

お前十九歳以上だろ。
俺より身長高いし落ち着きあるし、まぁ……少し子供らしい所はあるが。
例え十九以下でも俺と同い年かそれ以上しか考えられん。

「あまり年齢を言いたくないんですがね、今十四歳です」
「十四?!」

ってことは中二か!
今流行りの中二病真っ最中なのか!
この身長で!マフィアのボスの癖にっ!

やっと会長が言った意味がわかった。
ああ確かにあの反応は十四そこらの反応だとも。好きな子は独占したい年頃だからな。
俺はなかったが。いや、あった……か?
二年前のことはあまり覚えてないな。
つか、中学まともに行けなかったし。行けばよかったかな、ああちょっと後悔してしまう。

まあ、そんな事はどうでもいい。俺は年下に色々良いようにされたということか……全くもって有り得んな。

「貴方こそその容姿で十六は詐欺ですよ、始め見た時……十三だと思いましたもん」

もん、じゃねぇ!
なぁ古泉その後すぐ俺の歳知ったんだろ。
なのにどうしてあんな、あんな……っ!

「無理矢理でも、手に入れたかった。今だって、抱きたくて仕方ありませんよ」

俺の初めては、好きな人とするために取っておいたのに、初めては男だわ犯されるわ揚句の果てに年下だわで俺めちゃめちゃ腹たってんだぞ。
押さえ付けられて、笑われて、誰も助けてくれないと言われるんじゃないかって……怖かった。

「あいつに掠われてから、人が俺に触れるのを酷く恐れるようになった。なのに、お前は触る。最初は怖かった」

でも……、

「いつの間にかそれが恐怖から安心に変わっていったんだ」

触られることで、ああ俺はまだここに存在しているんだなって思うようになった。
家族とは違う安心があって、俺の中で凄い大きい存在になっていて、古泉が死ぬかもって思ったとき、怖かった。
古泉までいなくなったら本当に俺は生きていけないって。

「今なんて、もっともっと古泉に触れてほしい、安心させてほしいって思ってんだよ!」

抱きしめてくれている古泉の背中に手を回して、きゅっと抱きしめ返した。
もっと、もっと触れてほしい。触れたい。
俺をお前だけの俺にするって言っただろ。
しろよ、お前だけの俺に。
お前も、俺だけのお前になれ。

「そんなこと言われると、止まれませんよ?嫌だって言っても、もう要らないって言っても、止まりませんからね」
「むしろ、いっぱいにしろよ。古泉で俺をいっぱいにして、それで古泉も俺でいっぱいに……って恥ずかしいなこれ」

言葉にして恥ずかしく感じて真っ赤になった顔に古泉はキスの嵐を降らす。
そのまま抱き抱えられて(俗に言う姫抱っこだ)、ベッドに連れていかれる。
あの時みたいに嫌悪は感じない、むしろ、嬉しい。





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あきゅろす。
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