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ゆっくり休んで?


情けない。
五月、GWも終わった平日僕はマンションのベッドの上にいた。

「38度7分……」

珍しくいやこんなことこの生活を始めてから初めてだ。体調を崩して高熱を出してしまった。朝学校には向かったのだが通学途中に彼に会って挨拶をしたところで異変に気付いた彼から今すぐに帰れと言われたのだ。平気ですこれくらいと返しても全然大丈夫な顔ではない、ハルヒにもすぐばれるぞと言われてしまえば帰る以外に道はない。涼宮さんに体調が悪いのに無理して団活していると思われたらそれこそ迷惑を掛けてしまう、下手したら僕が原因で閉鎖空間が生まれてしまう。彼女はきっと自分が無理させたから体調を崩したんだろうと考えるような人だ、例えそれが嘘でも真実でも。
今回僕が体調を崩した原因は多分睡眠不足だろう。GW中予想通りSOS団で団活動をしたのだが、その段取りやこうしたら盛り上がるだろうみたいなことを考えていたら三日ほど睡眠をとっていないことに気づいてそのまま団活動へ。そこで彼と彼女が色々あって言い合い、結局閉鎖空間が発生、徹夜四日目団活動中に閉鎖空間が発生、こんな休日にもバイトの呼び出しがあることに涼宮さんは怒り、拡大。休みなくGW最終日へ。最終日は先日までの買出しやゲーセンではなくプールへ行き、何事もなくこの日は終了。昨日のバイトの件を彼女に謝ると「古泉君は悪くないの、人手が足りなくなるバイト先が問題よ!」と彼女が僕に対してではなく呼び出したほうに怒っていた事実に気付く。すぐさま機関にその旨を報告。会議はそう長くなくすぐ終わり睡眠不足な身体を引きずりながらベッドへ。
そして起きたらこの様である。確実に疲れと睡眠不足が原因だろう。
段取りに三日費やさなければ崩さなかっただろう、要領が悪い自分に腹が立つ。
まあ、今日無理して彼女にばれた方が大変だったかもしれないからそう言う意味で彼に朝会えて良かったな……。


















気付けば寝ていたらしい。
時計を見ようと手を伸ばした時に人の気配があることに気付いた。彼だったらいいのにと思ったがそんなに寝ているはずもないだろうから森さんが様子を見に来たのだろうか。

「森さん……?すみません、迷惑を掛けてしまって」
「森さんじゃなくて悪かったな、それよりまだ熱下がってないんだから横になっとけ」

起き上がって台所へ行き話しかけるとそこには森さんではなく彼が居た。
もうそんな時間なのかと外を見ると夕暮れ、三十分くらいだと思っていた睡眠がどうやら三時間くらいだったらしい。
森さんと間違われた事実に少しむっとしている彼にすみませんと言い、ベッドへと戻った。どうやらおかゆを作ってくれているらしくぐつぐつと煮込む音が聞こえてきた。程なくして持ってきたおかゆをありがとうございますと受け取ろうとしたらおかゆ本体を僕から離し、受け取れなくした。

「お前は何もしなくていい、食わしてやる」

彼は妹が体調を崩している時にそうするみたいに僕にもおかゆを食べさせてきた。フーフーして冷まして「はい、あーん」なんて。僕を何歳と思っているんだろうか、彼よりもいくつも歳を重ねていると言うのに、そしてそれを知らない彼でもないのに。

「弱ってるお前をこうやって看病するのも悪くないな」

でもそう言って笑う彼がまた可愛いから大人しく彼のしたいようにする。キスしたくなるけどそれもまだ我慢して。体調を崩している時だけ今だけ彼の優しさに甘えよう。
こんな姿を妹さん以外で見られるのは多分今は僕だけだから。

「熱が下がって、体調が良くなったらまた二人でDVD見ましょうね」
「前回見たやつの続編、気になってるから早く治せよ」


あきゅろす。
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