[携帯モード] [URL送信]
間違いは……


なぁ、どこまでやったら壊れてくれるんだ?
俺が違う男に抱かれたら?
ハルヒと付き合ったら?
長門や朝比奈さんに冷たくしたら?

きっとどれをしても壊れてはくれないだろう、そんなことは知っているさ。俺だって馬鹿じゃない、古泉がそんな弱くないことは知っている。
でも、そんな人間の壊れていく様を俺は見たくてたまらない。

がらがらと崩れていく音、
コワレテイク音、
それが聞きたくてたまらなくて仕方ない。

なぁ、どうしたら、壊れる?












「古泉、」

情事後のまだ何と無く甘くそして、柔らかい空間の中俺は古泉に話しかけた。
ある一つの黒い、薄暗い気持ちを持ったまま。

「どうかしましたか?」

何も知らない古泉、優しい古泉。
甘く、俺の躯を気にかけてくれる古泉。
それを崩す言葉を今から言うと思うと笑いが込み上げてきそうだ。
そう、俺はきっと、古泉を傷つけてしまうのだ。
それも、こっぴどく。

「……どこか辛いところでもありますか?今日は随分無理させてしまいましたし」
「そうだな、うん……痛いし辛いかもしれない」


「愛してない奴に抱かれるなんて苦痛に決まってるだろ」
「……え?」

古泉は信じらないといった表情で俺を見た。
俺は怠い躯を無理矢理起き上がらせ制服を着ようと手を伸ばした。
がしかし、その手は古泉によって阻止された。

「意味がわかりません、どういう意味ですか」
「俺は、お前の事が嫌いだよ、古泉」

絶望した表情の古泉。
そう、こんな表情を俺は見たかったのだ。
ずっとずっと、渇望していた表情。


だが、すぐにそれは引き、次の瞬間にはクスクスと笑う古泉の表情。
思いもよらない表情、こんな表情、知らない。要らない。

「そんなこと知っていましたよ、ふふ、まさか直接言われると思いませんでしたが……」

知っていた?何を?
全部、知っていたのかまさか。

「僕は貴方が望まれる古泉一樹で居てあげました、ですから次は本当の僕をさらけ出していいでしょう?」
「な、に言って……」

わからない、なに?
俺が願った古泉?
……確かにそうだ、優しくて甘くて、中々壊れない、それはすべて俺が望んでいた人物。
それが全て演技だとしたら……本物の古泉は?

「僕だって貴方なんて大嫌いですよ、でもご安心ください。これからも抱いて差し上げます、貴方に、消えない傷を一生つけます」

貴方だってそれを望んでいるのでしょう?
そう言った古泉に、俺は……逆に壊されていくんじゃないかと思った。


嗚呼、ガラガラと崩れていく音が、自分から聞こえてくる……。

「いい表情ですね、」

一つ、キスを落とされたけれどそれは甘くない、にがいキスだった。


あきゅろす。
無料HPエムペ!