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そして、


今から四ヶ月前、キョンに告白された。
純粋に嬉しかった。
それから「しょうがないわね、付き合ってあげるわ!」と承諾すると優しく頬にキスしてくれた。
その日は嬉しくて嬉しくて…夜も眠れなかったわ。

でも、一ヶ月過ぎた辺りから徐々に気付き始めたの。
キョンが好きなのは、私じゃないって。
キスも、絶対に唇にはしてくれない。
誰か違う人に恋しているけど、それはひたすら隠して、無理して私と付き合っている感じ。

「……不毛ね」

私も、キョンも。
でも幸せを装わなければならないなんて。



そんなの、悲しすぎる。



「ねえキョン。別れない?」
「はっ?」

昨日、キョンと部屋にいるときに言った別れの言葉。
突如慌てたようなキョンを見て、気付いてしまった。

「誰に何を言われたのか分からないけど、私は優しさで付き合ってもらいたくないわ」
「ハルヒ……でも俺はっ!」
「あんたが誰を好きかなんて、何となく知ってる。それなのに無理しないでほしいのよ」

好きだからこそ、幸せになってほしい。
出来れば私と、が良かったんだけれどそれで幸せになるのは無理みたい。
それはまやかしの幸せにしかならないの。

「それでも、俺は別れちゃダメなんだ。本気でハルヒを愛さなきゃいけない」

それが、あいつからの褒美の条件だから。
なんて、そんな酷い事言われたの?
それでも、キョンは…あんたは古泉君を好きなの?それこそ、愛じゃないの。

「古泉君には私から言うわ。私の幸せは、創られた幸せではなりえないって」
「言わなくていい!……もう、傷つきたくないんだよ」

今にも壊れそうなキョンを前に、何が出来るのかは分からない。

「ねえキョン、好きよ。大好き。だから幸せになってほしいの」

上手く笑えているか分からないけど、笑った。


「ごめん、……ありがとう、ハルヒ」

古泉には俺から言うから、とこっちも無理矢理笑っていた。
涙目の笑顔だったけど、今まで見たどの笑顔よりも綺麗だった。


さようなら、キョン。
私の、好きな人。


あきゅろす。
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