また、恋をする 「あ、」 ばったり。 そう表現するのが一番正しいかのように深夜のコンビニエンスストアで彼に会った。 高校を卒業して三度目の冬。 最後に会ったのは、いつの事だったろうか。 「久しぶりだな」 「ええ」 「二年ぶり、か……」 二年。 短いようで長いその年月の間に、僕は何か変わったのだろうか? 会社の中での肩書が少し上がったくらいで、僕自身は何も変わっていない。 適当に夜食を買うと、続いて彼も温かい缶コーヒーを二つ買った。 そのまま外に出る。 「ほらよ」 そう言って渡されたのはさっき買っていた缶コーヒー。 感謝の言葉を述べた後、プルタブを開け、中身を喉に流し込む。 昔は僕が彼に差し出していたのに、いつの間に逆転したのだろう。 「俺、明日から暫くの間海外出張なんだ」 どれくらいの期間か、と聞くと笑いながらわからない、と返答。 「だから、六年越しの思いに決着付けてから行きたくてさ」 飲み終えた缶コーヒーを自販機横のごみ箱に入れ、振り向いた彼は今まで見たどの顔よりも綺麗だった。 「古泉、俺お前のこと好きだったんだぜ」 「どうして今それを言うのですか。もういつ会えるかわからないのに……」 「うん、ごめんな。お前の気持ち知ってて、黙ってた」 五年前、僕が一世一代の告白をしたとき、僕の恋は終わったも同然だったのに。 もう、恋はしないって決めてたのに。 僕は、もう一度恋をした。 六年越しの恋をした。 |