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リュウの場合A
@から1日後の話。(9999リク)


 この世界には番と呼ばれる自分にとって唯一の存在がいる。同性や異種族の番の中には卵殻と呼ばれる子を成せるものもいた。




 グチュッ、ズプッ

「っ、あっ、も……ゆ、るしっ、ひッ。」

 何度も何度も入り口付近を抜けない程度に擦られ、リュウは思わず背を弓なりに反らす。既に数えきれない程注がれた精液が次々と溢れ、シーツにシミを作った。
 それでもカルガがリュウの足を離すことはなく、小さく痙攣する肌へと唇を落とした。強く吸い上げ、赤い痕が増えたことに口端をゆるませる。

「リュウ。」
「……っ、んんっ。」

 国王や兄弟達が見れば、目を見開き驚くであろう表情を浮かべたカルガは、涙と唾液で汚れたリュウの頬を躊躇いなく、熱い舌を這わせた。何度も涙が流れる度に目尻まで涙を吸い上げる。その間ももちろん腰は止まらず、リュウは短い息を必死に吐き出していた。

「リュウ。」
「……ル、ガッ、も、やだぁっ。」

 自分の名前優しく告げる男の名前を聞いたのは、三回目に意識を取り戻したときだ。
 お前、と呼び続けるリュウに、名前を呼ばなければ唇を離さないと、息すらまともに出来ない程激しく舌を絡められたため、リュウが根負けする形で今に至る。
 名前を呼ぶたびに、僅かにだが、ミントの香りが強くなるため、嬉しいのかもしれない。

 ズブッ、ズブッ、グチュッ

「ん、ん……カル、ガッ。」
「はぁ……リュウ……リュウッ。」
「うぁ、あぁっ!」

 二人の体の間でゆるりと起ち上がっていたペニスを扱きながら、カルガが動きを早める。既に何度も達していたリュウにはその刺激ではイくことができず、シーツを握りしめて頭を振った。
 しかし、前立腺をカリでぐりっと押し潰され、無理矢理快感を引き出される。ヌチュヌチュと扱かれるたび、精液か先走りかわからないものが溢れ出た。

「ひぃっ、イくっ、イくぅっ!」
「リュウ……一緒に。」
「あぁーっ、んむぅっ!」

 足を強引に広げられ、届くだけ奥へとペニスが中へと打ち付けられる。涙でぼやけた視界の中で、カルガの黒髪が近づいてきたかと思えば、口内に熱い舌が絡まってきた。
 叫び声さえ、貪りつくされるような激しいキスに、リュウは堪らずカルガの手の中で僅かに吐精した。射精で強張る体の奥で、熱い精液が吐き出される。量の減らないそれは、中から溢れてリュウの臀部へと流れた。

「……はぁっ、は……ふぅっ……。」
「ん……リュウ。」
「へぁっ?!……ちょっ、カルガッ、待って。っ……待てってば、待てっ!」

 必死に息を整えている間も、精液を塗り付けるように腰を回し、唇を吸うカルガに、リュウはすでに限界を迎えていた体を叱咤し、両手でカルガの顔面へと押し付ける。

「……なんだ。」
「も、もう無理。限界。本当に無理だから!」

 抵抗も虚しく、軽々とリュウの手を外したカルガは、眉を少し寄せながら汗ばみ香りの強くなった首へと顔を近づけた。

「……まだ一日だ。」
「っ……一日ヤれば、十分だろっ!」
「足りない。普通は三日は続ける。」
「そんな話聞いたことないから!」

 一日ヤり続けたという現実に、リュウは顔を真っ赤にしながらも、また継続しようとするカルガの腕へと爪を立てる。しかし、痛みにも顔を歪ませることなく、首筋に舌を這わせた。

「王族なら普通だ。」
「お、王族っ?!」

 平然と告げられた単語に、リュウの目が見開かれ、青ざめる。
 確かに、カルガという名前は王子の名前にもある。しかし、まさか自分の番が本物の王子だとは思っていなかったのだ。

「待って!待ってっ!カ、カルガって……王子のカルガ様?!」
「番同士に様はいらない。」
「ほ、本当に?!」
「何故番に嘘をつく必要がある。」

 ようやくリュウが困惑していることに気付いたらしく、カルガは一旦動きを止めると、爪を立てたまま震えるリュウの手を取り、口付けた。その光景すら、リュウには幻のように思える。

 嘘だろ。だって、カルガ様って……。

「じゅ……十七歳……。」
「十八になった。だから、リュウを見つけることができたんだ。」
「十八……って。」

 今年二十五となった平凡な自分と、まだ十八で、王族のカルガ。年下に組み敷かれて、一日中ヤっていた自分。
 番の香りに包まれることは無条件に嬉しかったが、リュウは自分の身に起こった事実を受け入れきれなかった。

「嘘……だろ。」

 しかし、同時に今まで自分に番が現れなかった理由が分かる。王族は成人にならなければ番を見つけられないと、国民の誰もが知っているから。


「リュウは……番が年下では嫌か?」
「え?」

 呆然と天井を見つめていたリュウの耳に、小さな声が届いた。今まで聞いていた強引で、自信に満ちた声ではない声色に、視線をカルガへと戻す。
 相変わらずカルガは無表情であったが、数分前は強すぎると思うほど溢れ出ていた番の香りが弱くなったことに、リュウは気付いてしまった。

 傷つけてしまったのだ、と。

「ち、違う。違うよ……ただ、まさかカルガさ……カルガ、の番に俺なんかが選ばれるなんて思わなくて……びっくりしただけだからっ。」
「……王族の俺では、嫌なんだろ?」
「……っ。」

 お互い裸で、こんなにも近づいているのに、ミントの香りはもはや微かに分かるほどまで薄くなっている。
 静かに自分を見つめるカルガに、リュウは胸が締め付けられた。そして、同時に理解する。
 もう、番として出会ってしまった今、自分がカルガを嫌いになることはできない。年下でも、王族でも、離れることなどできないのだ。

「……カ、カルガこそ、俺でいい?俺の方が全然魅力も。」
「俺はリュウじゃなきゃ駄目だ。」
「!」

 全てを言い終わる前に被せられた言葉は、リュウの心を温める。
 はっきりと告げるカルガに、迷いは見えなかった。

「おっ……俺も。」
「も?」
「……俺、も、カルガが……好き、だ。」
「リュウッ!」
「んあぁっ?!ま、待ってっ……本当にっ!」

 傷つけてしまった分、少しでも自分も大切な番へ温かさを届けようとしたリュウだったが、強く抱きしめられた途端、奥へと押し付けられた熱に、まだ繋がった状態だったことを思い出す。
 リュウの訴えも届かず、カルガが濡れた中の感触を確かめるように腰を動かし始めた。もちろん、ペニスは硬く、リュウの中を強く刺激する。

 グプッ、グチュッ、ズブブッ

「ひっ、あっ、んんっ。」
「リュウ……リュウ。」

 パンッ、パンッ、パンッ

 体をひっくり返されたかと思えば、うつ伏せで腰だけ浮かせた状態で激しく挿入され、視界に小さな星が瞬いた。
 正常位より、深く受け入れてしまうこの体勢は、まるで内臓を圧迫されているような錯覚すら覚える。何よりも、奥にあるものにペニスが当たるのが堪らなく気持ち良い。

「はぁっ、あっ、んーっ。」
「……ん?」
「っ、あぁっ、奥、当た、ってっ。」
「……まさか。」

 奥を押し潰される気持ち良さに、シーツへと顔を埋めていたリュウはカルガの表情が変わったことに気付かなかった。

 グブッ、ヌプッ、ズブブッ

「いぃっ!カルッ……あぁっ、おくぅッ!!」
「っ……最高の番だ、リュウッ。」

 奥へ、奥へと挿入するカルガに、リュウは無意識に逃げようとしたがしっかりと掴まれているため叶わない。激しく中を擦られ、リュウは腕を突っ張って顎を反らせた。
 触れられていないペニスからも薄い液がとろり、とシーツへと落ちる。
 力を失い、ベッドへと倒れ込んだリュウの体に、カルガは覆いかぶさる形で抱きしめる。

「卵殻があった……っ。」

 嬉しさが溢れたカルガの呟きを、意識を飛ばしたリュウが聞くことはできなかった。


終わり



リク:リュウがカルガへ「好き」と言う

りんな様リクエストありがとうございました。

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