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シズクの場合
平凡地味攻×美人軟派受


 この世界には番と呼ばれる自分にとって唯一の存在がいる。番の繋がりは何よりも強いが、それは当人同士しかわからない。



 ある日突然、俺に番ができた。同じ高校の後輩。
 地味で、印象に残るものは何もない。パッとしない後輩が、俺の唯一だった。

「シズクー。お前また行くのか?もう少しで相方クン来るだろ。」
「んー。」

 律儀なあの子は俺の我儘通り、放課後にこの教室まで迎えに来る。教室に俺がいないって気づいていても、だ。
 番が来る時間を見計らって、わざと違う場所へふらふら出ていく。そんな俺の行動を、まだ番のいない友人は全く理解できないらしい。

「シズク君、また行っちゃうのー?」
「うん。よかったら、ユキちゃんも一緒に行く?」
「えー?……本気にしちゃうよ?」
「んー。」

 教室から出ていく途中で、分かりやすく胸を押し付けてくる、ふわふわで可愛い、計算高い子を振り払うことなく、俺は教室を出て近くの空き教室へと向かった。
 個人的には保健室が一番いいけど、あそこにはもう住人らしき人達がいるから早々に除外した。

「……シズク君。」
「ん。」

 誰もいない教室で、柔らかい体を触りながら、女の子独特のいい匂いがする髪に鼻を押し付ける。
 ほとんどの生徒が番に対して操立てしてるけど、番なんて現れないと思っていたし、俺は早々に卒業した。少し優しくしてあげれば、俺と同じ考えの女の子がいくらでも寄ってくるから。
 自分の顔のつくりが良いことは、昔から自覚していたし、利用できるものは利用しないと勿体ない。

「ん……シズク、くん。」
「……。」

 女の子が好き。柔らかくて、いい匂いがして、たまらなく好きだ。
 なのに、なのに。

「……やっぱりダメ、みたいだね。」
「……。」

 突然動かなくなった俺に、寂しそうに笑うユキ。謝らなきゃいけないのに、俺の口は何も動かないし、何も音を出さない。

 どうして。どうして、違うんだろう。どうして、何も感じないんだろう。

 ユキが教室を出ていくのを見送ることも出来ず、俺は床へと座り込んだ。
 まだ、少しだけユキの香りがする中で、僅かに混じった匂いに、俺は思わず辺りを見回す。そして、教室の入り口に立つあいつを見つけてしまった。少し息を乱しているからか、いつもよりも香りが強い気がする。

「……やっと見つけた。」
「……っ。」

 女の子が好き。柔らかくて、いい匂いがして、たまらなく好きだ。
 なのに、なのに。
 探してしまうのも、求めてしまうのも、この地味で、地味で、平凡な、男の、香りで。

「……シズク先輩?」
「……タキ。」

 頬を撫でられるだけで、名前を呼ばれるだけで、こんなにも嬉しいなんて思ってもみなかった。





 グチュッ、ズブッ、グチュグチュッ

「ふ、あ……っ、あ、んんっ。も、っと……。」
「はぁっ……せ、んぱっ、出るか、らっ。」
「んっ、お、くっ、おく、で出せっ。」
「えっ?!」

 寝転ぶタキの上で思い切り中に力を入れれば、ドクッと更に大きく育つのが分かる。全部が地味で平凡なくせに、ここだけクソデカいのが腹立つ。デカくしても、意地でも全部咥えてやるけど。
 自分の体重のせいで深いとこまで入って、それが気持ち良くて頭がうまく回らない。下でタキが何か言ってたけど、分からないうちに、タキが強く突き上げてきて、全身に痺れが走った。

「んぁっ、あ、あ、き、もちっ!」
「っ、くそっ……ホント、にっ。」

 ズブブッ、グチュッ、ブチュッ

「ひっ、ああっ!タキッ、タキッ!」

 タキが動くたび、番の匂い、蜂蜜の匂いが充満して、鳥肌が立つ程気持ちよくなる。もう、俺はタキの胸に手を置いて体を保つのがやっとだった。

「あっ、イくっ、イくっ、ああああっ!!」

 中のしこりを押された瞬間、体の震えと共にタキの腹に俺のが勢いよく飛び散る。背を反らして、必死に射精の快感に耐えていると、突然視界が反転した。

「わっ、タ、キッ、この、姿勢、やだぁっ!」
「も、少しだけっ。」
「ひぃっ、ああ、グリグリ、やっ、あ、あぁーっ!」

 背中が床に擦れて痛いし、何より地味男のタキの下なんて絶対に嫌なのに。必死に抵抗したはずが、中の気持ちいい部分を押されて、いつの間にか手がタキの腕を掴むだけになっていた。
 股を無理矢理拡げられ、タキの体がむちゃくちゃ密着する。近付けば近付くほど匂いが強くなって、朦朧としてきた。
 この体勢だと、気持ちいいところにカリが当たるから刺激が強すぎて嫌なのに。

 パンッ、ズパッ、ズブブッ

「は、やくっ、イけ、ばかあっ!」
「すいませ、んっ。」
「ひっ、ん、んっ!……っ、またっ…。」

 ズボッ、グブッ、ズップズップッ

 しこりに何度もペニスを押し付けられ、甘い香りにも誘われ、イったばかりの体が再び熱を持ち始める。
 徐々にタキの動きが激しくなり、咥えた部分も擦られ過ぎて感覚がなくなっていく。
 二人の体に挟まれた俺のペニスをタキの手に乱暴に扱かれ、前からも厭らしい音が聞こえ始めた。
 俺の弱い部分を覚え始めた手。俺の中の弱い部分を的確に突くようになった動き。
 タキの行動の全てが、俺とタキの関係を表しているような気がする。

「やぁっ、またぁっ、また、イくっ、から……イくからぁっ!」
「……っ、俺、もっ。」

 奥へ、奥へと打ち付けられ、一段と奥へタキが侵入したと同時に熱いものを感じ、俺は目の前が真っ白になった。



「……ぱい。」
「……んー。」
「……ズク先輩。」
「……ん……んぁっ!って?!」

 頬を撫でる熱が気持ち良くて、思わずすり寄ってしまったけど、その声の主に気付き、俺は慌てて体を起こす……つもりだった。

「だ、大丈夫ですか?」
「うるさい。誰のせいだよ、誰の。」
「すいません……。」

 もちろん、背中だけじゃなくて、腰やあそこや、股関節、諸々痛くて起き上がれず、不本意ながらもタキに支えられてなんとか体を起こす。若干体が綺麗になって、服も着ていたのは全部タキがしてくれたんだろう。
 それでも、苛立ち任せにタキを睨めば、申し訳なさそうに眉を潜めるから、更にイライラが募った。

「俺は下になるの嫌だって言ってたよなー?」
「すいません……。」
「……もういい…………ちゃんと、家まで送ってよ。」
「も、もちろん!」

 タキには俺がちゃんと歩けるようになるまで待たせ、家に無事に着いたのは夜中のことだった。タキは俺の家からまだ距離があるから、更に遅くなったはずだ。


 ある日突然、俺に番ができた。同じ高校の後輩。
 地味で、印象に残るものは何もない。パッとしない後輩。それでも、俺の唯一。

「なぁ、シズク。ちなみに、相方クンとお前だと、もちろんお前が上だよな?」
「んー?当たり前だよ。」


終わり


シズク:十七歳。女の子大好き美人。男が自分の番であることを認められず、しばしば浮気しようと試みるがいつも不発に終わる。

タキ:十六歳。平凡地味男。少しずつシズクの扱い方が分かってきた。途中で体位を変えるのはわざと。

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あきゅろす。
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