ハルの場合B
Aのその後。(600000リク)
この世界には番と呼ばれる自分にとって唯一の存在がいる。番の香りはどんな相手でも惹かれずにはいられなくなると言われている。我慢できない程に。
まさかの存在が番と判明したその夜、ようやく香りで高ぶっていた気持ちが収まり、微睡み始めたハルは、温かく包む布団を頭まで被って誘われるがまま眠気に身を委ねる。
「……ん。」
全て夢ならいいとさえ思いながら、身体の力を抜いたそのとき。布団越しでも分かる、アノ匂いを感じ、再び嫌でも体に熱が集まってきた。そこで初めて扉の鍵を閉めた記憶がないことに気付き、慌てて体を起こしたところで、ノックも遠慮もなく開かれた扉からユーグが現れる。
「っ!」
「夕飯、持ってきたぞ。」
「い、いらないっ。出てけっ。」
「そう言うと思った。」
「くっ……。」
興奮を隠そうと強くなる口調に怯むことなく、ユーグはゆっくりと部屋へ入り夕食のビーフシチューを入口近くのテーブルへと置く。
ガチャ、カチッ、と扉が閉まり、鍵がかかる音が部屋に響いた。ユーグの動向を布団の中から探っていたハルは、その音の一つ一つにビクリと体を震わせる。
鍵、閉められた。
逃げられなくなったと認識した途端、部屋に満ち始めたジャスミンの香りに気付き、眩暈がしそうになった。
「……。」
「く、来るな……来るなよっ。」
静かに、しかし確実にユーグはベッドで震えるハルに近づいてくる。その表情は相変わらず不愛想だが、一重の瞳には熱が籠っていた。
ユーグが一歩近づけば、布団を身体に巻き付けたハルが身体を後ろへずらす。その攻防は壁に背中が触れベッド上で固まるしかなくなったところでハルの負けが確定した。
「……なんで逃げる。」
「……って、それ、は……っ。」
壁とユーグに挟まれ、眩むほどの強いジャスミンの香りに、溢れる唾液を何度も飲み込む。男同士という、番としては同等な立場であるはずにも関わらず、ハルは目の前の番に骨の髄まで食べ尽されるような威圧感と恐怖と興奮と、歓喜に溜め込んでいた滴を大きな瞳から次々と零していった。
力の入らなくなった手から布団を剥ぎ、真っ赤に染められた頬に流れる滴を、ユーグは最初は指で、すぐに舌を這わせて掬い上げる。
「……っ、う、ぁ。」
それだけで、ハルの全身に震えが走った。
コンコンッ
「っ!」
「ユーグ君、布団、ここに置いておくよ。」
「ありがとうございます。」
ドア越しに父親に礼をするユーグの唇が動くたび、ハルの唇にも熱が触れる。鼻先を擦り合わせ、互いに見つめ合いながら、どちらともなく舌を伸ばし絡め合った。
「は、ふ……ん、く……っ、ぁ。」
壁に押し付けられていた身体は力を失い、唇を合わせたまま崩れ落ちる。ユーグに覆いかぶさられたハルは、次々注がれ、溢れる唾液を必死に飲み込みながら、口内を撫でる舌へと自分のものを絡めた。
唾液を交換するたび、身体が発熱し、もっと、と貪欲に求めてしまう。腰を動かせば、下半身に硬いものがパジャマ越しに擦れ合った。
キスの間、何度もハルの髪を梳くユーグの手が気持ちいい。
「……グ、……ゆー……んっ。」
とろん、と快感に微睡むハルの視線を見つめながら、ユーグは柔らかな茶髪の感触を楽しんでいた右手をパジャマ代わりに身に着けているTシャツの中へと忍び込ませた。
キスだけで汗ばんでいた肌を脇腹からあばら骨に沿って、目的のものを見つける。尖りを指の腹で柔く撫でるが、キスに夢中のハルが反応を示すことはなかった。無意識にユーグの眉間に皺が寄る。
「んぅっ……はぁ。」
そんなユーグの表情など、瞼を閉じ、キスに夢中になっているハルが気付くはずもなく、あれほど拒否していたにも関わらず、自ら舌をユーグの口内へと伸ばした。
侵入してきた熱い舌を軽く甘噛みしながら、ユーグはもう一度尖りを撫でる。まだ柔らかいそれを指で摘まみ、少しだけ強めに擦りあげた。
「ふ、ぁっ!」
ようやく刺激に反応した身体が離れそうになるのをキスで無理矢理繋ぎ止める。言葉を発しようとした舌に自分の舌を絡ませ、再び尖りを摘まむ指に力を込めた。
ビクッと体を震わせた後、開かれたハルの瞳に驚愕の色が混じっているのを見つめながら、ユーグは何度も何度も硬くなり始めたそれを刺激し続ける。
「んっ、や、め……ふぅっ、ん。」
ユーグの思惑に気付いたハルが必死に抵抗するが、口を塞がれ、股間を膝で押されてしまえば、ユーグの腕を掴む手も逆に縋るようになった。
左側だけ、丹念に、快感を染み込ませるように、指で愛撫していく。
「っ、ぁ、ユ、グ……っ、うぁっ。」
膝で刺激していた部分から水音が響き始め、ハルの腕がユーグの腕から離れ、ベッドへと力なく下された頃、ようやくユーグは唇と右手を離した。
「はぁっ、はっ、はぁっ……。」
ようやく止まった快感に、ハルは何度も何度も息を吐き出して熱を逃がす。その様子を確認すると、ユーグは一人起き上がり、部屋の扉を開けた。
目的はもちろんハルの父親が用意した、恐らく不要になる布団を取りに行くためだ。廊下に放置されていれば、怪しんで声をかけてくるとも限らない。
面倒臭いと思いながらも、布団を部屋へと運び込んだユーグは、ベッドの光景に目を見開いた。
「っ、ぁ……ちが、これは……っ、手が……。」
力なく横たわっていた身体が、自らTシャツを捲り上げて乳首を嬲っていたのだ。
ただ見つめるだけのユーグに、ハルは顔を真っ赤にさせてうつ伏せになる。それでも右手が身体の下に潜り込んだのをユーグは見逃さなかった。再び部屋に鍵をかけ、汗ばみ始めた首筋の香りを堪能するように圧し掛かる。
「っ!」
「こっちも、してほしいのか。」
ハルの右腕に沿うように指を這わせ、尖りを弄る手を握りしめた。ハルが弄っていたのは、ユーグの触れていた左側ではない。
無理矢理仰向けにすると、馬乗りのまま、ユーグは捲り上げられた胸へと両手を伸ばした。
「んっ、あぁっ。」
弄り続けていた左側はぷっくりと赤く腫れている。逆に右側はまだコーヒー牛乳の様な淡い茶色のまま。首筋まで真っ赤になったハルを見下ろしながら、ユーグは伸ばした手で乳輪ごと掴み、まだ色付いていない右側へと唇を寄せた。
「ひっ!ぁ、んんっ。」
ジュッと音を立てて吸われ、ハルの視界が涙で滲んでいく。
堪らなく気持ち良かった。
ユーグの舌が、歯が、乳首に触れるたび、眩むような甘い刺激が身体に走る。男の自分がこんなに感じるなど、思ってもいなかった。大声を出しそうな口を左手の甲で塞ぎ、右手は震えるまま胸から離れないユーグの髪を掴む。
同じように真っ赤に染まった乳首を満足そうに舐め続けるユーグによって、ハルは泣きながら下着に射精した。
しかし、ハルが泣くのはこれからだった。汚れた下着を剥ぎ取られ、ようやく互いに肌を見せ合ったとき、ユーグの大きさに番の香りで興奮していたハルは、一瞬にして顔を青ざめさせる。
「っ……む、ムリッ……さけ、るっ。」
「しっかり慣らせば入るだろ。」
涙と涎でボロボロな顔を優しく撫でながらも、平然と宣告された恐ろしい内容に、ハルは何度も首を横に振った。
「む、りっ……や、だっ。」
無理だ、と何度も拒否しながら、嫌なら自分が挿れる側になればいいことなど考えもしないハルに、ユーグは無表情な顔に、僅かに笑みを浮かべる。
「ハル。」
「んぁっ、ぅ、あ!」
乳首を撫でられ、意識をそちらに取られた瞬間、強引にうつ伏せにされ、腰だけを高く上げて後ろをユーグに見せつける格好にさせられた。慌てて身体を捩じろうとしたが、尻に何か熱いものが触れた途端力が抜けてしまう。
ペチャッ、ジュッ、ピチャッ
「ひっ!ゆ、ユーグッ!き、たなっ……ふぇっ!」
「濡らさないと痛いのはハルだろ。」
大嫌いだったユーグに尻を舐められている現実が、ハルの頭にガンッとした強い衝撃を与えた。縁をなぞり、時折悪戯に中へと入る熱い肉に、涙が止まらない。
「っ、うぇっ……ヒックッ、うーっ……。」
泣き続けるハルを包むのは今までで最も強いジャスミンの香り。舐められながら、舌ではない異物が中へと挿入され、穴を広げられるごとに空気が中へ入り込む。拒もうとすれば、収縮するハルの中から厭らしい音が聞こえ、ハルは羞恥と快感でどうすればいいのか分からず、ベッドに頭を擦り続けた。
どれだけ、その行為が続いただろうか。
「ハル。指、いくつ入ったか分かるか?」
「はっ、あっ、知ら、な、んんっ。」
身体を支える力など既になく、ユーグのされるがまま体を仰向けにされ、異物を抜かれる感覚に唇を噛み締めた。
自分の足が重くて仕方がない。膝を抱えられ、腰を高く上げた恥ずかしい姿勢にも関わらず、ハルは終わらない快感にぼーっとユーグを見上げた。
「もう挿れるから。」
「……っ、あ。」
何を、などと問わなくても分かる。口を開いたままのそこに、熱が押し当てられ、ゆっくりと中へと押し込まれた。
「っ?!いっ、ああっ!」
あれほど長い間解されたにも関わらず、穴を広げるペニスの大きさと痛みで、見開いたハルの瞳に再び涙が貯まる。
無意識に逃げようとする腰を引き寄せられ、ズブッ、と熱が埋め込まれた。
「ひぃっ!っ!っ!」
大きいなんてものじゃない。苦しい。痛い。熱い。
「後、半分。」
「っ、りっ、無理っ、も、やだぁっ!」
進まぬ穴に唾液を垂らされ、ゆっくりと奥へと進められる恐怖に、ハルは自分の膝を掴むユーグの指を引っ掻きながら激しく首を振って抵抗する。何度か達していたハルのペニスは痛みと恐怖で力なく垂れていた。
「大丈夫。息吐け。切れてねぇよ。」
「はーっ、う、ぁっ、あ!」
そういう問題じゃない、と大声で抗議したいのに、苦しさで言葉を発することすらできない。涙も涎も、鼻水も、色々なものが出ている自分の顔を見て、ユーグが笑った気がした。
その瞳に再び強い光が宿ったと思った瞬間。
ズブッ、ズブブッ
「っ!!」
残りの全てを押し込まれ、ハルの身体は激しく痙攣した。同時に、ユーグの手を掴んでいた指が力なく落ちる。
「……全部入った、な。」
切れることなく、キュウキュウと甘く、柔く締め付けてくるハルの中に、ユーグは意識を失い閉じられた瞼をべロッと舐めた。僅かに体が反応するが、普段は強く睨み付けてくる瞳が、ユーグを見つめ返すことはない。
中の感触を確かめるように腰を回しながら、ユーグは自分を受け入れてくれた番の唇に自分のそれを重ねた。
正常位で揺さぶられ続け意識を取り戻したハルは、ユーグによってもたらされた射精の快感で再び気を失うことになる。
終わり
リクエスト:ハルをデロデロに甘やかすエチ
koko3様、ありがとうございました。
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