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モリの場合:番外
Halloween企画:悪戯編

 10月31日はハロウィン。街はオレンジや紫のハロウィン色に包まれている。
 もちろんその賑やかな雰囲気は、城下町だけではなくハクコ国の城内まで浸透していた。


「この時期ルガ国では、仮装した子供達にお菓子を作って振舞う習慣があるんです。」
「ハクコ国にもありますよ。子供だけでなく、大人にも配っていますが。」
「大人にも、ですか。」

 ある程度の知識は得たものの、依然として慣例のように開かれるゾシュとモリの勉強会。普段は糖分補給として飴やフルーツが盛り付けられているお皿には、本物のカボチャに形を似せた立体的なクッキーが並べられていた。

「これは、私が作りました。よろしければどうぞ。しっかり毒見もしていますよ。」
「ゾシュ様が?」
「はい。」

 ふんわりと笑いかけるゾシュに差し出されるまま、一口食べれば、ホロッと崩れ、甘いカボチャの味が口いっぱいに広がる。

「お、美味しい。」
「それは良かったです。毎年作らせていただいているんですよ。」
「そうなんですか。本当に美味しいです。」

 知識も人一倍あり、それでいて大きな役職には付いておらず、挙句にお菓子も作る。本当にゾシュは何者なのか。そんな思いがモリの中に過ったが、カボチャクッキーのあまりの美味しさについつい手が伸びるうちにそんな思いもいつの間にか消えてしまった。


 行儀が悪いと知りつつ、四個程クッキーと食べ終えたそのとき。

「……ん?」
「モリ様?どうかされました?」
「あ、いえ……ちょっと……。」
「……今日はもうお開きにしましょう。お疲れのご様子ですし。」

 妙に体が軽い気がして、モリは首を傾ける。まだ勉強会が始まって数時間しか経っていないため、疲れたわけではないのだが、モリの僅かな異変を察知したらしい、ゾシュにより強制的に勉強会は終了し、モリはそのまま自室へと戻った。

「……んー?」

 一際ふかふかなクッションに身を預けながら、やはり変だとモリは眉を潜める。
 体が軽い、というよりは、変に暖かいのだ。しかし、動きにくいわけでも、熱があるわけでもない。

「んー……。」

 訳の分からない感覚に、ソファーへ体を横たえたのと、ノックもなく部屋の扉が開いたのは同時だった。

「モリ。大丈夫か?急に体調が悪くなったと聞いたが。」
「……。」

 もちろん、王子の番であるモリの部屋に許可なく出入りできるのは番、イセしかいない。
 相変わらず、自分の情報に敏感な番の登場に、モリはただぼぉっとその綺麗な顔を見つめていた。

「……モリ?」

 返事のないモリを心配し、イセはその顔をモリへと近づける。もう少しで額がくっつきそうになる距離にも関わらず、モリの鼻にはアノ匂いが香ることはなかった。

 また嗅ぎたい。また、あの匂いに包まれたい。

 ぼんやりとし始めた頭で、モリはただそれだけを考えていた。

「モリ?どうしたんだ。医者を呼。」
「……トリックオアトリート。」
「……え?」

 なぜ、そう思ったのかは分からない。
 なぜ、そうしたのかも分からない。

「……トリックオアトリート!匂いを出さなきゃ悪戯するぞ!」
「うわっ?!」

 モリはイセへと手を伸ばすと、強引に体を引き寄せてソファーへと組み敷いた。
 驚いて目を見開いても、綺麗なプラチナの髪と整った顔立ちであれば、イケメンが崩れることはない。それにすら、無性に腹が立ち、モリは眉をひそめた。

「モ、モリ?本当に一体どうし……。」
「匂いを出すのか出さないのか、どっちだよっ。」

 襟を握りしめ、顔を顰めたまま自分の首筋へと鼻を寄せるモリを止めることもできずにいたイセだったが、モリから香るいつもと違う匂いに、目を僅かに瞬かせる。

「……モリ、もしかして酔ってる?」
「酔ってない。出さないなら悪戯するぞっ。」

 イセが細かく観察すれば、モリの目尻や頬はやや赤く火照っており、声を出すたび、嫌でも敏感な鼻には普段ならば苦手だから、と絶対に拒否している酒の匂いがしていた。
 何があったかは分からないが、モリが今酔っているのは明らかだ。
 ある程度の状況を瞬時に理解したイセは、思わず口端を上げる。

「そう言われても今は発情期じゃない。モリが分かる程強くは出せないよ。」
「……っ。」
「出せなかったら、悪戯、する?」
「す、するっ!」

 イセの言葉に、一瞬だけ泣きそうな表情を浮かべたモリだったが、楽しそうなイセに苛立ちが勝り、思わず売り言葉を買ってしまった。





「ん、ふ……んっ。」

 ジュブッ、ジュッ

「モリ……っ、は。」

 最高にふかふかなソファーに座り、イセは自分の下で必死に舐め続けるモリの髪へと手を伸ばす。
 拙いとはいえ、まさかの事態に興奮も高まりつつあった。

 悪戯、という名目で一通りモリによって寛げられた衣服、そして様々な部分に残る赤い印。いつもであれば、それはモリの体に刻まれているものだった。
 赤い印はイセが少しでもモリの舌に反応した部分だ。執拗に舐め続けた後、イセが触られた途端慌てたその部分をモリは強引に口に含んでしまい、今に至る。

「んぐっ、ぅ。」
「っ、モリッ、口離して。」

 愛しい番の、いつもは絶対にしないであろう光景に、イセも限界を迎えていた。
 流石に初めてで口内はまずいと、強めに髪を引っ張るがモリは嫌々と首を軽く振って更に奥へと咥え込む。もはや舐めることも疲れてきたのか、必死に唇で刺激する姿はイセにとって可愛い以外の何物でもなかった。

 ジュゥゥッ

「ハッ……モリッ。」
「ンッ、ゥ。」

 強く吸われ、誘われるがまま、イセは最後の抵抗を止め、逆にモリの頭を強く押し付ける。
 久しぶりの行為であったためか、モリの口端から白濁が零れ落ちるまでたっぷりと吐き出された。

「っ、はぁっ……はっ。」
「ふ、んぐっ、っ。」

 僅かに息を荒げるイセの視界に、ゆっくりとだが涙目で喉を上下させるモリの姿が映る。咳き込みながらも、最後まで吸い出すように舐めとると、ぺたんと尻もちをつくように座り込み、イセを見上げた。

「悪戯、成功した?」
「…っ、そう、だね。」

 楽しそうに笑う口端には、まだ舐め切れていない白濁が付いており、酷く厭らしい。
 その表情に、イセは自分の中で再び熱が高まっていくのが分かった。



「んあぁっ、あっ、ヤだぁっ。」
「悪戯するって言ったの、モリだよ?もう終わり?」

 グチュッ、ズブブッ、ヌチュッヌチュッ

「す、るぅっ、から、待ってっあああっ。」

 下から突き上げられるように何度も奥へと打ち付けられる熱に、モリはもはや体を起こしているのがやっとの状態だった。
 必死に動かそうとした手も、イセの腹筋へと力なく触れているのが精一杯。もう何回出したか分からないペニスからは透明な液がしどとに流れ落ちる。

 グチュンッ、グチュグチュッ

「ひぃっ、ひっ、ダメああぁっ、あーっ!」
「ほら、悪戯しないと。」
「っ、んんっ、うぁっ、イってるっからぁっ。」

 体を反らしてしまうたびに、ゴリゴリと前立腺を擦られ、モリは頭を振った。もちろん、イセの動きが止まることはなく、イったばかりの体に強制的に与えられる刺激でモリは顔を顰めて涙を零す。
 それすらも可愛いイセは、痙攣するモリの太腿を抑えて更に腰を突き上げた。

「ーっ!ーっ!」
「んっ……モリッ。」

 一際激しく痙攣したモリの中に、イセも堪らず本日二度目の精を勢いよく注ぎ込む。その白濁を搾り取るように動くのは、モリにとっても無意識の仕草だろう。

「はぁっ……はっ、はぁっ。」
「……本当に可愛い。」

 倒れ込む可愛い番を抱きしめ、汗だくの額へとイセは唇を落とした。




「―ってことがあったけど、モリは覚えてる?」
「……え?お、俺が?そんなこと、を?」
「そう。証拠は、コレ。この痕全部モリが付けたんだよ。」
「っ?!」

 二日酔いのように痛む頭と腰を抑えながら、イセの裸に点々と付けられた赤い痕を見て顔を青ざめさせるモリに、イセは酒を飲ませるのは自分の前だけにしようと密かに決めた。



終わり


リクエストキーワード:
@モリからイセへ
A洋酒入りのお菓子で酔う
B無意識に煽る
C何も覚えてませんオチ

ありがとうございました。


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