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03:その笑顔、怪しすぎです
待っててね!と言い残すとベポくんは部屋を飛び出して行った。

部屋に静寂が戻ったと同時に今まで感じていなかった不安感がどっと押し寄せた。

マリージョアから当然ながら出てしまい、能力者の身でありながら海に落ちるという有り得ない失態。
普通なら死んでいた。
本当にラッキーだった。
それに

「ボルサリーノおじさん…心配してるだろうなぁ…」

マリージョアに居るであろう唯一の身内であるボルサリーノ、もとい大将黄猿の事を思いため息をついた。

「心配事か?」

「え?」

いつの間にそこに居たのだろうか、帽子を被った背の高い男の人が入り口に立っていた。

「あ、えっと…船長さんですよね?助けてくださってありがとうございました」

「いや…そりゃ目の前に人が落ちてきたら助けない訳にはいかねぇだろ。」

「じゃあ…私が落ちてきた所を都合よく通ってくれてありがとうございました…でしょうか」

「ぷっ…なんだそりゃ、お前」

船長さんは声を殺してくっくっと笑った。

「それよりお前…なんでまた空から降ってきたんだ?」

当然の疑問だろうが、悪魔の実の能力者です、なんて言ったらどこに売る飛ばされるか分かったものじゃない。
それにこの船長さんの顔、どこかで見たような…

「お前が落ちてきたところを見たクルーによると…お前が落ちてきた時、空には鳥も、雲も、何も飛んでいない青空だったそうだ。」

「だとしたら可能性は一つ」

「お前…能力者か…?」

いきなり核心をつかれ心臓が跳び跳ねる。

「あ、わ、わたし、は」

「そんな怯えんな、売りとばしゃしねぇよ。で、答えは?」

この船長の前で隠し事をするのは無理そうだ。

「…能力者です」

「やっぱりな…ま、安心しろ、俺も能力者だ。…そういえばまだ名前聞いてなかったな…お嬢さん、お名前は?」

妙に改まって手を取りながら名前を聞いてくる船長さんに笑みがこぼれる。

「なまえ、みょうじなまえです」

「俺はこの船の船長、トラファルガー・ローだ。よろしく、なまえ」

トラファルガー…ロー…まさか

「ローさん」

「なんだ?」

「もしかしてここ…海賊船?」

「ん…ああ、なんだ、ベポから聞いてなかったのか?」

ローさんはニヤリと笑みを浮かべた。

「ハートの海賊団船長、トラファルガー・ローだ。よろしくな、なまえ」



「死の外科医…」

「なんだ知ってんのか?」

「懸賞金2億ベリー…」

「ああ」

「…」

「…フフ」



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