09:そんなあなたにときめくわたし。
「“ROOM”」
ローさんが手を前にかざし唱えると、大きな半円がローさんを接点にして広がった。
「なっ、なんだ!?」
「悪魔の実の能力者か!」
敵船のクルー達がどよめく。
その様子を横目に、ローさんは長刀を敵に向かって薙いだ。
ズパパパパ!
「!?」
刀身は当たっていないはず、だが円の中に入っていた30人ほどの敵達の体が、真っ二つになっていた。
「気を楽にしろ」
狂気じみた笑みを浮かべながらまた横に一閃、剣を薙いだ。
「うわああああ!」
今度は首と胴体がきれいに離ればなれになる。
ローさんは逃げ惑う敵たちを追うように、敵船に歩を進め、船にかかっていた梯子の上に立った。
「“ROOM”」
敵船を飲み込む程大きな円を作り出す。
今度は刀を斜めに一閃、敵船に振り下ろす。
まさか――
ズパァアアン!
「嘘でしょ…」
真っ二つにぶった切られ、沈んでいく船を見ながら呟く。
「キャプテン!」
ベポの声に、ローさんの方を見ると、梯子の上に立っていたキャプテンが足場を無くし、今海に落ちようかというところだった。
「―――ッ!」
能力者のローさんはカナヅチなハズ――まずい!
「――ロー!」
「Angel's wing!」
なまえの体を光が一瞬覆い、光が失せた時にはなまえの背中に真っ白な羽根が根ざしていた。
なにより驚くべきはその飛行速度。
周りの人間が状況を把握するころにはなまえがローを抱いて甲板に降り立った後だった。
「……やるじゃねぇか」
「まずはお礼でしょ」
「胸押し付けてくれてありがとう」
「もう海に落ちればいい」
「冗談だ」
ローが楽しそうにくっくっと笑う。
「それにしても…本当に天使だったんだな」
「だから言ったじゃないですか」
「正直半信半疑だった」
「ちぎりますよ」
「どこをだよ」
「…とりあえず…無事でよかったです、ローさん」
「ロー」
「?」
「あの時呼び捨てだったじゃねぇか」
「不可抗力です」
「ときめいた」
そんなあなたにときめくわたし。
「飛んでマリージョアに帰ろうなんてしたらもいでやるからな」
「羽根ですか」
「どういう構造か見てみたい」
「冗談に聞こえません」
←→
無料HPエムペ!