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ねえ好きってなんだっけ?(久々綾)
※考えるあやべ









人の血は温かい。それから内臓も。
何処か一箇所でも故障すると全部腐っていくんだって。

単純な細胞が集まっただけの物体がどうして動くことが出来るのだろう。
生きるって何。
考えるって何。
感じるって何。
魂はどこから来るのか。
どこへ行くのか。

肉体が滅びたら、私は私で無くなるのか。それとも精神だけが宙を漂うのか。
そうしたら、あなたを愛しく思う気持ちも一緒にどこかへ消えてしまうのだろうか。

だったら私は死にたくない。
以前は生死にそこまでこだわっていなかったけれど、今は思う。どんなに不様でもこの世にしがみついてやる。

「って思うんです」

昨夜中ずっと蛸壷の中で考えた事を吐き出してみた。久々知先輩は表情を崩す事無く聞いていた。

「私は混乱なんかしていません」

「そうだな」

「こういう事、誰でも一度は考えますよね」

「うん。俺も考えた事あるよ」

「先輩の答えは見つかりましたか?」

「さあ、どうかな」

曖昧に笑う先輩にふわりと抱き締められた。
昨日はずっと蛸壷の中にいたから先輩に触れていなかった事を思い出した。どうやら体は冷え切ってしまっていたみたいだ。
決して高いとは言えない体温に包まれて、それでもそれは火傷しそうなくらい私の心を温めた。
さっきまでの不安とか悲哀とか絶望、その他おおよそ負の感情全てが溶けて消えた。

嬉しくなったり悲しくなったり。不安になったり安心したり。感情は忙しい。

生きるって事は、不思議な事の連続で出来てる。
私はまた一つ学ぶことが出来た。


だけど、あなたを好きと思う気持ちがどこからくるのかは、まだ分かりそうもありません。







END.



意味不明。
どこまでも不思議ちゃん。

10,3,18

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