対岸の人(文こへ)
※「土の雨」の文次郎サイド的な
窮屈に感じ始めたのはいつからだったか。
鍛練は好きだ。プロの忍者になることが俺の全てだから。
先の事を疑うつもりはこれっぽっちもないが、しかしどこまで行っても終わりが無い毎日に辟易してもいた。
疲れていたのかもしれない。または、睡眠不足。
疲労や寝不足は思考を鈍らせる。
だのに、あいつは。
馬鹿みたいに笑って、走り回って、周囲の人間を振り回して。
細かい事は気にしない。それは時として酷く羨ましい。
真面目に考えている自分が惨め思える。
「お前を見ているとイライラする」
「今更。文次郎はいつだって苛々しているじゃないか」
だから誰のせいだと思ってやがる。
こうして感情がざわつく原因である男は、こちらの心情など知りもしないでひらりと交わしてどこかしらへ漂うのだ。至極自由に。
そんな、あいつの意味も無く深い情は、曝け出す事の許されない自分の弱さも迷いも、全て許してくれるんじゃないか。
そう思ってしまう。
蓋を開けたら最後
END
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心のよりどころを押し付ける文次郎。
ちなみに仙蔵も以下略
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