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反抗期(久々←綾)







「豆腐ばっか食ってんなよコノヤロー」

思わず笑ってしまうほど見事な棒読みに、けれど笑うまいと緩む頬を引き締めて相手を見据える。

「え…どうした綾部…」

「常々思っておりましたのでぶっちゃけてみました」

「なんで今…」

夕食時、例に漏れず豆腐を食していると静かに歩み寄って来た紫は綾部喜八郎。こんな言い草されるとは、はて何かしたかと思い返してみようとして止めた。綾部の考えてる事が分かった試しがなかった。

「本当に貴方は馬鹿の一つ覚えみたいに豆腐豆腐豆腐豆腐豆腐、豆腐ばーっかり。豆腐と結婚して一生いちゃついてたらいいんじゃないでしょうか」

「や、結婚て…」

綾部はおかしな事も真顔で口にするから本気なのか冗談なのか時々分からなくなる。いや、今回のは明らかに冗談であるが、綾部なら本気で豆腐と結婚出来ると思い込んでてもおかしくない。

「結婚しないんですか?」

「あ、うん、豆腐と結婚は、しない なぁ」

「だったら私と結婚して下さい」

「…はい??」

相変わらず淡々と無表情な綾部の口から変な単語が聞こえたが、空耳だろうか。

「豆腐ばっかり見てないでたまには周りも見たらどうですか。私みたいに貴方にとっての豆腐になりたいと願う酔狂な人間がいるかも知れないですよ」

「ああ、そうだな………ん?」

「一つ言わせて頂くとですね、」

豆腐より私の方が美味しいですよ。


そう言って綾部は俺の膳に自分の分の冷や奴の小鉢をことりと置いた。

いきなりなじって来たと思ったら豆腐をくれたり、一体どうしたのか。
意味が分からないが取り敢えず、可愛い後輩に反抗期が訪れたらしい。



end.








久々知の扱いが酷い綾部も好きかもしれない。

09,6,20


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