魔性コントラスト(タカ久々)*
※フリリク作品
火薬の仕分けは夜中まで続いた。先に注文していた分の運送屋が不運にも道中豪雨に見舞われて足止めを食らい、後から注文した別の火薬と同時に到着したためだった。
火薬委員会総出で取り掛かり、漸く収拾がついたのはすっかり夜も明けた頃だった。
眠気などとうに通り越し、四人の体はとにかく空腹を訴えていたので、風呂よりも布団よりも全員でまず食堂に向かった。
この学園では徹夜組も珍しくなく、大多数の生徒が起床し始める前に食堂に来る者も毎日のように居たため、食堂のおばちゃんは本当に早くから食事を作ってくれている。非常に有り難い。
疲れた体に染み入る朝餉の匂いに迎えられ食堂に足を踏み入れると、珍しい光景が広がっている。
暖かな朝食と並ぶ、大量の団子。おまけに豆腐が山盛り。
夜通し作業に励んだ火薬委員への土井先生からのご褒美だった。(勿論、豆腐は委員長代理を務めている兵助個人に宛てたものである)
とりあえず席に着きのろのろと朝食を口に運びながら団子を眺める。
格子窓からは気持ち良い日差しと春の風。加えて今日は休日。
「「「「…」」」」
四人はおかずの焼き魚を咀嚼しながら、示し合わせたようにお互いの目をみた。考えていることは皆同じ。耐えきれず下級生二人が吹き出す。
少し仮眠を取った後、火薬委員で花見に行くことになった。大量の団子を持って。
「わーぁ!きれいですねー!」
「走ると転ぶぞ伊助」
「やだなぁ三郎次先輩、いくら僕でもそう簡単にっうわぁ!」
「ほらな…」
無邪気にはしゃぐ伊助と嫌々そうにしながらも後輩を引っ張り起こす三郎次に、兵助も斉藤も頬を緩ませる。
「ほんと良い天気だよなぁ」
青空を仰いで兵助は言った。日差しは徹夜明けの疲労した体に眠気を誘う。その気だるさを心地良く感じつつ、桜の木の下で弁当や団子を広げるとちょっとした宴会のようになった。
ひとしきり食べて飲んで騒いだあと、はしゃいでいた下級生二人は案の定眠ってしまった。昨夜委員会を頑張ってくれた二人を布団で寝かせてやりたいと、兵助は伊助を、斉藤は三郎次を抱き上げ学園へ戻る。
「ねぇ兵助くん、伊助くん達が寝ちゃってゆっくり出来なかったしさ。夜になったら二人でまた桜見に来ない?」
「夜にか?」
「うん。今夜は満月だから、夜の桜もきっと綺麗だよ」
兵助くんと2人でゆっくりしたいなぁ、と斉藤独特の甘い声でおねだりすれば、兵助が断ることは無いのだ。
「満月って明るーい」
灯りは一つも無いものの、夜闇に慣れてしまえばお互いの姿は勿論、風に舞う桜の花びらまで充分に見える。
「夜間訓練とかして暗闇にもだいぶ慣れたんじゃないか?」
「うんそーかも。…あ、兵助くん花びら付いてる」
「え、どこ」
「ちょっと待ってね今取るから」
髪の毛に付いた桜の花びらを取るために斉藤が手を伸ばすと、必然的に近くなる二人の距離。斉藤は大人しく花びらを取ってもらっている兵助に顔を寄せると唇を奪った。急な事に兵助は呆れながらも目を閉じて受け入れる。丸一日振りのお互いの感触を堪能していると、その気になってきた斉藤の手が兵助の上着の併せ目から忍び込み体を撫でるように這う。
「おい…外だぞ、自重しろ」
「でもだって、兵助くんが可愛いから」
「あのなぁ……」
俺のせいかよ、そう言いながらも強い拒絶を見せない兵助に、調子に乗った斉藤は黒い肌着までも捲り上げ、現れた胸の飾りを指で弄る。
「っおい、ほんとに止めっ…」
荒がる非難を口付けで中断させる。舌を絡ませながらも手のひらは腰をなぞり、反対の手はぷっくりと主張する乳首を尚も攻め立てる。
兵助はいつの間にか桜の幹に押し付けられていて背後に逃げ場は無かった。激しい口付けと乳首への愛撫に力が抜けていくが倒れてなるものかと足に力を入れる。が、突起を親指で仄強く押されるとズクンと下半身が反応する。
「さいとっ、も、やだ…っ」
自分の足だけでは立っていられず、たまらず斉藤にすがりつく。そんな兵助を愛しそうに抱き締めながら、斉藤は兵助を押し倒す。
「ちょっとごめんね」
「あっ」
力の抜けた体は、軽く押されただけで草の上にドサッと倒れ込む。その勢いで巻き起こった小さな風で地面に散っていた花びらが舞った。
「ぅわ、ぷっ…花びらが…」
「あははっ桜まみれになっちゃったね」
倒れ込んだ兵助に覆い被さるように跨り、まとわりついた花びらを懸命に払う兵助の手を掴んで引っ張り、隙だらけの唇に噛み付くように口付ける。
空いた手で髪紐を解くと、散らばる黒髪の何と手触りの良いこと。滑らかなそれに夢中で指先を絡ませる。斉藤が口を挟むまでもなく元から上質だった黒髪は、本職により手入れされ更に艶を増していた。斉藤は満足げに微笑む。
「こっち辛そうだね、兵助くん」
袴を押し上げて主張する男根を膝でグイと刺激すれば面白いほど反応する兵助の体。彼の自身に早く直に触れたいと腰紐を乱雑に解き、兵助の前を寛げる。
(ああ、なんて)
「美味しそう」
心の声が口をついて出てしまったが、兵助は早く刺激が欲しいのかそれ所では無い様なので良しとした。
数回手で扱けば立ち上がった竿と手のひらが透明な液体に濡れて光る。
こんなに濡らしてやらしいなぁと思う反面、ただ流させるのは勿体無い、この一滴の雫だって俺のものなんだから、と斉藤は思った。
「勿体無いから食べちゃっていい?」
「ん、なに…」
既に朦朧とする兵助に構わず体を下にずらし足の間に顔を入れ、震える竿を口に含む。
「ふ、あ… …ぁ だめぇ」
ぴちゃぴちゃとわざと音を立てれば恥ずかしさから足を閉じようとする兵助。斉藤がそれを許すはずもなく、太ももを押さえられる。
裏筋をなぞり、先端をきつめに吸えばぴくぴく震える様が可愛い。
後ろの蕾にまで垂れる蜜を掬うように舐め取り、舌先で入り口をなぞる。
「やっ汚 い、からっ」
「そんなこと無い、美味しいよ。兵助くんの精液」
味見してみる?そう言って精液がついた唇で兵助に口付けしてみたが、すぐに嫌そうに顔を逸らされ斉藤は楽しそうに笑った。
「ご機嫌斜めだね。早くこれが欲しいのかな?」
斉藤は自分の腰紐を引き抜くと腹に付くほどそそり立っている逸物を取り出し、わざとらしく見せ付ける。
恥ずかしそうに目を泳がせる兵助に、自身を彼のそれに擦り合わせる。お互いの先走りでぬるぬるになった二つの男根は、滑る摩擦だけで絶大な快楽を味わう。
それでも、擦れるだけの刺激に我慢出来ず、ついに降参した兵助が口を開いた。
「お願い、も…、きて」
「ふふ、えろーい」
そうして待ってましたと言わんばかりの早さで兵助の蕾をこじ開け侵入する。
「ゃあ、んっ!あ…熱いぃ」
パンパンとぶつかり合う音がするほど激しく欲望を打ち付ける斉藤は、ふと思い付いたことを口にした。
「ねぇ兵助くん知ってた?ここ、昼間伊助くんと三郎次くんが寝ちゃってた所だよ」
そんな場所で足開いて善がって、こんな兵助くん見たらあの二人どう思うかな?
腰を揺らしながら口角を上げて言うと兵助の目から涙が一筋流れた。
「ん…さいとっ…いじ、わ る………きらい」
「うそ。きらいじゃないでしょう?だってほら、俺のモノ下のお口で美味しそうにくわえてる」
「っふ…言うな ぁ」
兵助の、涙で濡れた顔や汗で湿った髪には桜の花びらが幾つも付着している。
月明かりの中、その白い肌と薄桃色の花びらだけは夜闇にくっきりと浮かび上がる。
闇と、黒髪と、白い肌。そして桜の花びら。
目眩がするほど美しいコントラストだった。
地面に散らばる黒髪に、小さな花びらが絡まる。二つが混ざり合っているこの美しさには、どんな装飾品でも適わないと斉藤は思った。
「あっあ、さい…とっ…は、」
「やば…兵助くんかわいい…きれい…」
「んっ…い、く…いっちゃ…う、…」
「いいよ兵助…一緒にいこ」
満月と桜には、淫らな気分にさせる作用でもあるのではないだろうか。
そう思わずにはいられない夜だった。
翌日、伊助にまたみんなでお花見行きましょうねと無邪気に言われ、微妙な顔をした兵助に気付いたのは斉藤だけである。
END
名無しさんリクエストのタカ久々でした。
リクエストありがとうございました!
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