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【You're my princess.】
 
スザルル

┳2人は恋人同士
┣CLAMP作品ツバサ18巻のあるシーンを
┣スザルルver.にして取り入れてます
┣勿論ツバサを知らなくても楽しめますw´∀`)
┗Clap掲載期間...
  2008/6/2〜2008/10/13












「はぁ、スザク…」

放課後の学校。その廊下を足音と溜め息だけが木霊する。
なぜだろう。いつからか、彼のことが頭から離れなくなって。

「これが、好きって気持ちなのか…」

なんてしみじみ思ってしまう。

「はぁ…」

何度目かの溜め息が吐き出されたとき、不意にどこからか声が聞こえた気がした。

「あっははは……」

この笑い声は…スザク!?

聞こえてくるのは教室から。

「もー笑うなよなー」

もう1人の声がする。

リヴァルもいるのか…――

スザクだけだと思って教室に入ろうとしていた体を反射的にとめてしまい、扉の影に身を隠す。この位置からなら2人の姿は見えないが、声ははっきり聞こえてくる。

「…っていうかさぁ、スザクってどんな子が好みなの??」
「何??急に」
「いや、単なる好奇心」
それは俺も少し気になる。いや断じて盗み聞きなんかじゃない。2人の声が勝手に、そう勝手に聞こえてくるだけだ。大声で話してるお前らが悪い――
などと、訳の分からぬことで自分を言い聞かせ、スザクの回答を待つ。


「んー。料理上手な人かなー」
「結構庶民的だなー」
「後は頭いい人」
「あー、お前結構バカだから」
「リヴァルに言われたくないよ…」

思わず
よしっ。と心の中で叫んでしまった。それに気づき、1人赤面してしまう。

「じゃあさ、見た目とかは??」
「…あんまり気にしたことないけど…強いて言うならやっぱり、色白で細い人……な」
腰や脚の細さには自信があるぞ――
と小さくガッツポーズなんかしてしまう自分が恥ずかしくなる。
でも……スザクの好み、まるで俺のことじゃないか――
何となくだけど…なんか愛されてるなーと感じた。
次の瞬間までは。

「やっぱり女の子は細い子に限るよなー」

悪友の声に絶句する。

は?女の子!?
……あぁそうか。さっきのはスザクの好きな女のタイプだったんだな…。少しでも浮かれた俺が馬鹿だった――
そう考えていると、すぐにでもここから逃げ出したくなって、俺は何処へとともなく走り出した。俺ができる精一杯の全速力で。

「ルルーシュ…!」

とスザクの声がした気がした。でも、とまらない。とまれない。

いつの間にか目に涙が溜まっていて、それに気づいて声を上げて泣いた。――



  ***



「ルルーシュ…??」

さっき走る足音が聞こえて廊下にでると、明らかに様子のおかしいルルーシュが走っていってしまったので、気になって彼の部屋を訪れた。
扉を開けると、夕方にも関わらず電気もついておらず薄暗い。一瞬誰もいないのかと思ったその時、啜り泣くような音が聞こえた。部屋に足を踏み入れると、ベッドの上にぺたりと座りこんでいる人影が目に入った。
肩は微かに震えていて、顔は手に覆われ見えないが、スカートを履いているところからすると、女の子だろう。

なんでルルーシュの部屋に女の子が…??

「誰っ…!?」

と思わずトゲのある声がして自分でも驚いてしまう。
少女は肩をびくりと震わせて、顔を覆っていた手を外しこちらを向く。

「ス…ザク…??」
「ルルーシュなの!?」

服は女の子のもので顔も濡れてはいるが、こちらを向いたのは紛れもなくルルーシュその人で。

「どうしたの、その服!…それに…泣いてたの??」
「スザクっ!!」

その少女……いや、ルルーシュがバッと僕の胸に飛び込んでくる。

「スザクっ…俺、料理もできるし、頭もいいし、見目も自信があるっ。…なのに…満たしてないの、性別だけだからっ…!!」
「い、一体何のこと??」
「今日、リヴァルと話してたじゃないかっ!!」

僕はリヴァルとの会話を思い返す。
そう言えば好みのタイプとか話してたっけ…

「聞いてたの??」
「女が好きなら俺が女になるっ!だから…だから…」

紫水晶の瞳に大粒の涙を浮かべながら、声を絞り出す。

「俺を、嫌いになるなっ!!」
「ルルーシュ!!」

彼の震える体をぎゅっと抱き締める。

「何でっ!?何でそんなこというの!?君を嫌いになるはずがないじゃないか!君は僕の恋人なのに!!それにっ」

目の前の彼の顔が霞んで見えてくる。

「…それに…女の子を好きだなんて、僕…一言も言ってないし、僕が好きなのは女の子じゃなくてルルーシュなんだ…」

大切な人の顔をよく見たくて、霞んだ目を擦る。その時気がついた。
目が、頬が、顔が、濡れている。

「あはは…、僕も泣いてるや…」

なんて笑いかけると、ようやく彼も微笑んでくれて。
あぁやっぱり、君の笑ってる顔が一番好きだな――って感じた。

彼の涙も拭ってやり、目元にキスを落とす。

「これからも、ずっと一緒にいさせてくれる??」


我が唯一の姫君


君は僕の全てだから――


You're my princess.






[fin.]




あきゅろす。
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