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木更津堂
木更津淳が店を開いたらしい、という噂は、誰からともなく瞬く間に本人の友人の間を駆け抜けた。
実際件の店に行ってきたという柳沢の話によれば、すべてがかなりアバウトらしい。


古書屋だ。
開けようとすると動くのも億劫だと言わんばかりに軋むその引き戸(店主にそっくりだ)は、力任せに横に滑らせてようやく入口の役目を果たすくらいに開く。足を踏み入れた中には、外とは違う、古い紙のすえた匂いが充満している。萎びた背中を向けて並ぶ書物の山の向こう、要するに店内最奥にある会計カウンター(これも半ば本に埋もれている)が店主の王座。
営業時間は明るくなってから暗くなるまで、休業日は月初め10日間。品物の価格は店主である木更津が、気ままに定める。
これが木更津堂だった。

休業している10日間を馬車馬のように働いて稼ぎ、あとは店番をしながら本を読み暮らしているという。

住居はある。家賃35000円の極めて古いアパート。家具はこたつに本棚、ラジオが一台。

一週間に3日いるかいないかなんだから引き払っちゃえばいいのに、とは兄である亮のもっともな言い分。

風呂とか寝床なら俺のとこ使っていいんだぜ、とは元部長である赤澤の有り難い申し出。

そして木更津淳は着替えを詰めたドラムバッグにラジオひとつを持って部屋を引き払った。


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すごい未完。半端。
とりあえず、こういう設定を前提にパラレルっぽいものが書きたくなった。
長文にはならないと思います、SSの寄せ集めみたいな感じで。




あきゅろす。
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