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ライバルはルカリオ?! 5



オルドラン城


いつもは出店や行商達で賑わう城下も、今ではめっきり人が居なくなっていた

そう、この辺りでは直に戦争が始まる



今日も世話しなく我が国の兵士達は戦に備えて準備をしていた

そんな中、



「アーロン様ー!!!」



我が主であり師匠であるアーロン様の姿はなかった

もう直に戦が始まるというのに!

前々からアーロン様には放浪癖があったが、こんな時まで…

私は呆れ気味に、アーロン様を捜した

神経を集中し、波導の力を辺りに張り巡らす



「(居た!)」



アーロン様は城から離れた、敵国との国境に居た

何たってあんな危険な場所に!







「アーロン様!」


やっとの思いで追い付いて、アーロン様を引き留める

「おお、ルカリオ…何故こんな所に?」

「そっ、それはっ…私の台詞で、す!」

息を整えながら話すと、「…まだまだ修行が足りないなルカリオ」とアーロン様は笑った(誰のせいで、全力疾走したと…!)



「アーロン様!それはそうと城に戻って下さい!全くこんな国境付近で散歩なんて…」

自重して下さい!と少し声をあらげるとアーロン様は「ごめーん☆」と舌をペロッと出した

ふざけないで下さい!!!アーロン様は今この国がどんな状態か分かってるのですか?!」

「んー…大体。


……駄目だこの人…

はあ、と溜め息をつくしかない…


ああ、何でいきなり…前はこんな方ではなかったのに





遡ること3ヶ月

快晴の空の下、リーン女王様と僭越ながらもご一緒にお茶をしていた時、いきなりアーロン様が



…恋って良いよね



と言い出したのだ

リーン様は、「何かあったのですか?」とアーロン様を心配していたが、アーロン様は依然上の空

そう、その日からアーロン様は大きく様変わりしてしまった









「…アーロン様、もう戻りましょう」

「あともう少しだ」

結局、アーロン様を城へと連れ戻せず…


アーロン様は時折道端にしゃがみ込んでは花を摘んでいる

そんなアーロン様の有り得ない姿を目撃してしまった私は、一瞬アーロン様の後頭部に手刀を入れて無理矢理連れて帰ろうかと考えてしまった

アーロン様をどうやって連れて帰るか、そしてどうやって元に戻すか、悶々と考えていると、アーロン様はいきなり茂みに隠れた

「アーロン様…何をやってるんです?」

「静かに!!!」

アーロン様の声の方が大きいでしょうが




アーロン様と同じ茂みに隠れると、そこから人家が見えた

その家の外に一人の女性が

洗濯物を洗ったり干したりと、忙しそうに働いていた


「…美しいだろう……」

ほぅ…っとアーロン様は感嘆の息を漏らす

「美しい、ですけど…あの女性は誰ですか?」

「トキというんだ」

「トキ?」

「姿形も美しいが、名前も美しいだろう?」

アーロン様っ、目が!目がイッちゃってますよ!



「昨日も、此処に来たんだ」

「……どこかに出掛けていると思ったら…ここに来てたんですか」

「まあ、昨日だけじゃなくて毎日来てたんだが」

仕事もせず、何やってんだ

「昨日は、流石に彼女も私の熱視線に気付いたのか、私は見付かってしまってね」

シカトですか

「初めて、彼女に接する機会が出来たんだよ」




アーロン様が、嬉しそうに笑った
そんな顔は久し振りで、怒る気も失せてしまった


「彼女は驚いていたよ、驚いた顔も可愛かった」

「良かったですね」

「それでその後すぐに傭兵に通報されてね

変質者と勘違いされてるじゃないですか!!!

「その傭兵をまくのには骨が折れたよ」

「………何やってるんですか、貴方は…」

呆れてアーロン様から視線を外すと、目の端に彼女が映った

私は目が合ってしまった

アーロン様ァ!伏せて下さい!!

ぐぁ!!!

アーロン様の顔が地面にめり込む、だけど見付かるよりマシだ


「…ポケモン、なの?」


……良かった、アーロン様は見付かってない

見付かってしまったのでは仕方ない

私は彼女の前に出て行った


「…か、可愛い……何処から来たの?」

「…と、隣の………森から」

「喋った!」


彼女はキャーキャーと声を上げた
しかし、怖がっている様子は無い

私は特殊な力を使って、人間と会話することが出来ると説明した

「そうなの〜…ふふふ、それにしても可愛いわねぇ…」

彼女は私の顎下に手をやる
くすぐったいような気持ち良いような手の動き


つい気を許して、甘えた声を出してしまった

彼女がまた「可愛い〜!」と言って、私を抱きしめた

心地良かった、が




ゾクッ




背後からもの凄い殺気を感じる

「……アーロン様…」

「…え、何?」

「いや、あの」

彼女が不思議そうに私を見た



「…あの、トキ、私には主人が居るんだ」

「野性じゃなかったのね」

「そうだ。……トキ、私の主人に会ってもらえるか」


いいわよ!彼女が元気に答えた

それを合図にアーロン様が茂みから現れた








大切な貴方には、やっぱり幸せになってほしいから





アーロン様が作った不器用な花束

アーロン様は珍しく照れた顔で差し出した


彼女は一瞬驚いた顔をしたが、私が彼女に「私の自慢の御主人です」と言うと、彼女は優しく頷いてアーロン様から花束を受け取った












2009*02*07
輪廻転生ネタ(^p^)


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