[携帯モード] [URL送信]
理解不能行為








この人はおかしい
そう思った時にはもう遅かった









「……い、ッ……た……!」

ぐちゅり、と生々しい水音がした矢先の痛み
引き抜かれた指と共に、赤黒い肉片が畳に落ちた
肉片に纏わり付いていた大量の血液が、綺麗に掃除されていた畳に汚らしい染みを作る

「……痛い?」

彼が青白い顔で微笑んだ
首を傾けて尋ねる仕草は、こんな状況でなければ素直に心をときめかせていたであろう
そう、彼が私に馬乗りになって、こんなに酷い行為に及んでいなければ

「痛い?……トキ?」

もう一度彼は問うた
でも私は答えなかった

「ねぇ、」

「……ひッ!」

答えられなかった

「ねぇ……ねぇ、トキ、聞いてるのかい?」

彼は、マツバは、おかしい

「痛いッ!……止めて!嫌だ、嫌だぁ!!」

抉るように掻き回される秘部が、まるで焼鏝を押し当てられたように痛い、まさに激痛
耳障りな水音を立てつつ、わざと爪で肉壁を引っ掻く行為に危うく意識を飛ばしそうになる

「すごい血の量だね」

悪びれもしないで言う

「マツ、バ……痛い」

「痛いか……でも、僕は気持ち良いよ」











彼は普通のセックスはしない
決まって私が生理の時にセックスをする










「トキ、好きだよ」

「ん、ぅう」

噛み付くような口付け
絡め合う舌の輪舞曲に一瞬痛みが緩和されたと思ったら、プツリという小さな音と共に私の唇から血が流れ落ちた

「……ふッッ!」

逃れようとする私の唇に噛み付いて離れない
逃げようとするだけ無駄だよ、そう彼の瞳が言っていた

「はぁ、っ……トキ……」

「……っ」

彼が満足するまで私の唇を味わった頃には、私の体は血まみれだった
私の秘部から畳に流れ落ち続けていた血は、黒く変色していた

「トキ」

名前を呼ばれたと思ったら、彼の顔が目と鼻の先にあった
顔の横に付かれた彼の両肘が私に威圧感を与える空間を作り出している

「マツバ……本当に……」

私は自分の目から、やけにゆっくりと涙が零れるのを感じた

「(止めて、嫌だよ、怖い、怖い……大嫌い)」

彼に抱く嫌悪の言葉が溢れ出す
でも、その言葉が音となって溢れ出すことはなくて

「―――!」

彼に貫かれた絶望と言う名の痛みに飲み込まれてゆく

「……はっ、ぁ、あああ、あ!」

息が一瞬止まって、思考も同時に止まった
先程差し込まれていた指とは比べ物にならない質量の異物が、私の体内を食い荒らしていく

「……ぃやぁぁああああ!!!」

残る力を全て出して抵抗を試みるも、次の瞬間には彼の意外に大きな掌が、私の口を押さえていた

「……んぅ!ん!ぐぅ!!」

「……ちょっと、静かに……今すごく良い、とこ……だからさ」

彼は恍惚の表情を浮かべて、律動を開始した
いまだに私の口は押さえつけられたまま
彼の金色の髪の毛が真上で揺れる
ここまでくると何も感じなくなってしまい、私はなされるがままになった

「(どうしてこうなってしまったのかな)」

そんなことを考えながら

「……あっ……」

じわり、じわり、体の中に広がってゆく温かさに虫唾が走った
彼が達したのを身の内側で感じながら、私の意識は白い霧へと飲まれていった

「……早く壊れてしまえば良いのに」

そんなことを彼が言ったような気がした











理解不能、理解不必要
(この行為も、関係も)




















2009*09*16
何だかよく分からない作品に
これはリハビリが必要ですねッ
※翌日ちこっと加筆しました


[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!