甘いキスをひとつ、ワタシに頂戴
時刻は午前0時ジャスト
ベットの上には、正座をし、向き合う私とヒョウタ
「ヒョウタ、別に難しい事言ってる訳じゃないのよ」
「う、ん」
「ヤれ、何て一言も言ってなi」
「破廉恥な事言わないでよ!!!」
「…はいはい。んで、私はね…『キスして』って言ってるの」
「は、恥ずかしいよ」
「恥ずかしくないでしょーが!ヤれの方が恥ずかs」
「だから大声でそーゆー事言わないでよー!」
さっきからこれの繰り返し
いや、さっきからの問題じゃない
ヒョウタとは付き合って半年も経つ
付き合って半年って、気が早い子達ならもうA B C……Zまでいってても可笑しくない
なのにヒョウタときたら…
「さぁ、キスの一つでもしてスッキリ寝ましょ!」
「む、無理だよ…キスだなんて…そんな恥ずかしい事…」
手を出すどころか、キスもしてくれないのだ
これがもしデンジなら、「君と!俺とで!一緒に痺れようぜ!」と、付き合って初日でZまでぶっ飛ばすに違いない
ガシリ、とヒョウタの両肩に手を置く私
まるで漫画の様に、大袈裟にヒョウタが体をビクリ!と震わした
問答聞かずにヒョウタに顔を近付ける
「う、うわ!トキ!止めてよ!」
グググ…と私の顔を押し返すヒョウタ
彼女に対してその態度は何なの?!!
「うるひゃい!ひょふたがひてふれにゃいはらわたひからふるのよ!」(うるさい!ヒョウタからしてくれないから私からするのよ!)
「何言ってるか分からないよ!」
そりゃあ、アンタが押さえてるからだよ!
渾身の力を込めてヒョウタに近付くが、日頃炭鉱で仕事をしているヒョウタの方が力があるのは一目瞭然で
いくら押したところで、片手で簡単に押し返されてしまう
……こうなったら
「もう今日は寝よう?!寝不足は美容に良くないって、トキが自分で言ってたよね、って、うわぁ!」
私はいきなり力を抜いた
その反動でヒョウタが私を押し倒す
その一瞬を逃さず、素早くヒョウタの頭に手を伸ばすと私はキスをした
顔を真っ赤にして「い、今っ!」なんて言いながらマッハで私から距離をおくヒョウタ
もー遅い、しちゃいましたよ確かに
呆気を取られて、あわあわと慌てるヒョウタに一言
次は貴方から
甘いキスをひとつ、ワタシに頂戴
キスをした事で何か吹っ切れたのだろうか
今度はヒョウタから私を押し倒した
(キス以上をくれる気?!)
2009*02*04
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