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私は起きながら夢を見る







暗い暗い、よく解らない空間に手を伸ばす。そこに誰かが居る訳じゃない。だけど、誰か居る気がした。私を助けてくれる誰かが…。パパ?ママ?それとも、パートナーになって間もない私のナエトル?…もしかしたら、ゲットしてからまだ2日しか経ってないコリンクかも。…嗚呼、誰でも良いから私を、「…どうしたの、トキ」幻に伸ばした私の手は、突如暗闇から現れた手に掴まれた。太く、逞しい腕。その先に、私から全てを奪った人が居る。


「眠れないの?」「…」「またダンマリかい…?」「……」「さっきまであんなに騒いでたのに、ねぇ?」…誰のせいか解ってるの?私は好きで騒いでた訳じゃないんだよ。痛くて痛くて、苦しくて…止めて欲しくて助けて欲しくて、それを必死で貴方に訴えていたんだよ。なのに、「僕、トキの声が聞きたいな」カチリ、と音がしたかと思うと、部屋が明るくなった。部屋と言うよりは、洞窟…洞穴みたいな所。この人は此処を「秘密基地」と言っていた。


私の胸に、腰に、手が触れた。「お兄さん、止めて」「…まだそう呼ぶの?何度も言ってるじゃないか、僕の名前はヒョウタ。ヒョウタって呼んでよ」「……お兄さん、止めて下さい。もう私…無理だよ」「ははぁ、トキは本当に頑固だよね」足を無理矢理左右に広げられた。…お兄さんの手が、私の体に触れる度に痛くてたまらない。心も体も。


「ンぅ、ふ…ぁ」「そうそう、もっとトキの声が聞きたい」「…あ!っ、ン!ひぁあ!」「…見てよコレ」お兄さんが私の目の前に指を突き出した。指には白くベタベタした物が、いっぱいついていた。「精液、僕の…トキの中に沢山溢れているよ」セーエキ、それが何なのか私には解らない。だけど、このボンドみたいなミルクみたいな物は、お兄さんの体から沢山出て来る。そしてそれを、私の中に入れる。「…く、ぅ……早くっ出来ないかなぁ」「…んっ、あっあっ」「そうしたらトキは、僕から完全に逃げられなくなるのに」…何を言ってるのか、意味が解らない。この台詞は、私がお兄さんに捕まって、お兄さんが私に痛い事をしたその日から、毎日聞いている。何が出来るの?逃げられなくなるって、何?…もう今だって、逃げられないじゃない。


「はぁ」お兄さんが私の耳に息を吹き掛けた。気持ち悪い。そう思った瞬間、私の中に入ってる、お兄さんの体の一部がビクンと跳ねた。「…ん、トキ」…もっと気持ち悪い。私の中に、熱い物が広がる。私は何回かこんな事をされて、最近解った事がある。お兄さんが言う、セーエキっていう物が私の中に出されると………多分、それで何かが出来て、それで何かが出来てしまったら、私はいよいよママやパパや、ナエトルやコリンクに会えなくなるらしい。このお兄さんの側に、ずっと一緒に居なくちゃいけなくなるんだ。「………嫌だ」そんなの嫌!「…トキ、泣いてるの?」「帰りた、い!」「……まだそんな事言ってるの?」「パパ!ママぁ!」「トキ、」「ナエトルぅ…コ、リンク…」「…ほんっと、トキって頑固だね!…でも、凄く面白いよ」


この仄暗い穴の中で、私は家族や仲間の夢を見る。お兄さんは私で夢を見る。夢はいつか覚めるもの、ママがそう言っていた。だから、この夢はいつか覚めるんだ。私もお兄さんも、夢から覚める日が来るんだ。














私は起きながら夢を見る
(早く、早く、覚めて!)






















2009*04*01
10歳。と、(多分)話繋がってます。



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