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diverge 4













体の内側に広がる生暖かい感触

粘着質で白濁色のそれは、精液という


不思議なもので、こんな液体から人間が出来るのだ(もっとも、これ単体では出来ないが)


しかも、私の体に注がれた精液は特別で





私の好きな人を作ったものであった





だから私は、これがどうしても欲しかったのだ













あと5回

始めは、そんな条件をクロツグさんに突き付ける気は無かった

クロツグさんにもう一度だけ、体を重ねてもらいたかった

それで終わりにする筈だった

それで満足する筈だった



だけど、生まれて初めて感じた快楽に狂っていくのが分かった(こういうのを自己の崩壊とでも言うのかな?)





私はクロツグさんから与えられる快楽の中で、確実にあの人とクロツグさんを重ねていた

クロツグさんと体を重ねている時間、あの人が





ジュンが、私を愛してくれているような感覚に陥った

それがあまりにも心地良く、その行為に溺れてしまった


























私の右足がクロツグさんの肩に掛けられる

男の人にしては、酷く白い肌
だけど体はしっかりと引き締まっていて…なんて逞しい胸板なのだろう


「(体の作りは、あまりジュンと似てないなぁ…)」


意識がハッキリとしない頭で、そんな事を考えていた


「(…でも、顔はそっくり)」


「…トキ」


不意に呼ばれた名前は、前回より優しさを感じた


いや、諦められたの間違いか


名前を呼ばれたなら、それは挿入の合図
クロツグさんのモノが、私の秘部に宛がわれた
この瞬間、体中の毛が逆立つ感覚に襲われる
もう既に何度か経験しているとはいえ、全く慣れない


「んあああぁ…!」


入れた直後に、クロツグさんが覆いかぶさって来て、視界が暗くなる


「ん、あ、ャ、あン!」


クロツグさんの律動に合わせて、私の口からはいやらしい声が溢れる

右足をしっかりと固定されているため、足を閉じようにも閉じれない

そうなっては、ただ一方的に快楽を与えられるだけ

私に拒否権は無い

望んで、してもらった事なのに何だか最近苦しく感じる








「……は、出すぞ」


クロツグさんの息が荒くなる
その時にはもう、何が何だか分からなくなって…


「んん!」


頭の中がスパークした途端、快楽から解放される

ゆっくりと体の中に熱いものが広がってゆくのを感じた


「(この瞬間が、一番幸せ)」


ズルリ、と私の中から抜き出されたモノと共に、大量の精液が流れ出した









「(…ジュン)」


自分の秘部に手を伸ばす
グチュリ、と粘着質な音が立った


「…トキ、」

「…」


私は、指に絡みついた白い液体を、うっとりとした表情で見詰める


「(ジュンの一部、それが私の中にあるだなんて…なんて素敵なんだろう)」


そんな考えでいっぱいな私は、間違いなく狂っている


「トキ」




クロツグさんが私の名前を呼んだ
さっきから、何度も、何度も

だけど、私は今ジュンの一部がこの手にある喜びをひしひしと感じている最中だった

クロツグさんが、尚も呼び掛けるが、応える気はない




「(…そうか、)」


最近、クロツグさんとの行為が苦しいのは


「(私、こんな快楽を求めていたんじゃないんだ)」


もう一度秘部に手を伸ばして、精液を掬い上げる
また大量に指に絡みついた


「(これが欲しかったんだ…………これだけあれば良かったんだ)」













欲しかったのは、心でもなく体でもなく
(愛する人の一部が欲しい)














2009*03*09
エロ少なめに文章短めで



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あきゅろす。
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