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diverge 3






脅す訳でもなく

謝る訳でもなく



トキはやって来た



目的も明かさず、今日も私に抱かれに来た













バトルフロンティアに併設する建物の最上階という閑静な空間で罪悪感に揉まれる


真っ白なシーツの上で、一糸纏わぬ姿で乱れるトキ

無論、乱しているのは私だ


「んんっ…はぁ、クロツグさん…」


トキの足を割って、秘部に指を忍ばす

1本、2本、3本…

指の数を増やして、それぞれの指をバラバラと動かす

「ひぁ…あ!」

嬌声を恥じる事なく上げ始めたトキの様子に、もうすぐ達すると分かった

「クロツグ、さん…っ!」

「…何だ?」

「も、ぁあ、もうっ…抜いてっ…!」

生理的に溢れ出した涙を、目に沢山浮かべて懇願するトキを無言で見詰める

トキの言葉を無視して、指で肉壁を素早く擦る

「…い、やぁ…!」

「…」

君の言う事を聞く気は無い

君は私の言葉を無視して、私を犯したじゃないか


別にやり返すとかそんな子供染みた事はしない


ただ、君に対して慈しむとか労るとか…


愛するとかいう感情が、もう湧かないだけだ





こういう関係になった以上、君に抱いていた全ての感情が消え去った


可憐で清純で、可愛かった君

記憶の中での君は、汚れなど知らず、ただただ誠実な未来に歩む少女だった筈だ






ビクビクと体痙攣させる

「…や、だ……って言ったのに…」

トキの目から、ぼろぼろと涙が流れた


「…もういいだろう…?」


トキの秘部から指を引き抜き、ティッシュで付着した愛液を拭き取った


「…え?」

「………今日はもう終わり、帰りなさい」


トキに服を投げて寄越す


「………続き、しないの…?」

「…」


私は確かにあの夜、トキと完全に体を重ねた

でも、それ以降は全くしていない


「………して、下さい」

「……トキ、分かるだろう」


私は、トキと共に罪を犯した

それは決して私が望んだ事じゃない

トキがあんな事を私にしなければ、絶対に起こる筈はなかった


だとしても、私は許される訳じゃない


この罪は消えない

何をしても………


だけど、私は妻を愛している

息子のジュンも居る


これ以上の事は、したくない

トキに愛撫をする事でさえ、私の罪を堆くする行為にすぎない









トキの腕が、私の首に巻き付いた

「?!」

「して」


柔らかな唇が、私の唇に重なる

「トキ…っ」

「してくれないなら…」



してくれないなら、妻やジュンにばらすとでも言うのか


「………お願い、します…」

「…」


トキの涙が私の肩を濡らした


「…して、ねぇクロツグさん…い、れてよ」


その声は、聞くに堪えない悲痛なものだった


「…トキ……」

「…うぅ、っ…お願い…」


本当に、何があったんだトキ


「………したら、何があってこんな事になったのか、教えてくれるか」


理由が分からない限りは、この沼からは抜けられない


小さく、トキが頷いた



















「……ゴム、付けないで」

「…は?」


トキに再び愛撫を施し終え、覚悟を決めて事に及ぼうとした時だった

久々に手にした避妊具を使おうとした瞬間、手を跳ね退けられた


「お願い、付けないで…」

「……分かっているとは思うが、これを付けないと赤ちゃんが出来てしまうかもしれないんだよ」

「大丈夫だから、付けないで」



何が大丈夫なんだ



「…駄目だ、付けなきゃ」

「嫌なの!付けないでよ!……付けないでしてくれなきゃ、私……………教えないから」


何が目的なんだ


「…トキ、君には絶望したよ」

「分かってます」


「こんな事して、絶望しない訳ないでしょ?」消えそうなくらい小さな声でトキが言った

















トキの足を軽く広げる

私が覆いかぶさると、トキな体がピクリと跳ねた


「…トキ」


あの夜以来の感覚が体中に走る


「ああぁあ…っっ!」

「…っ、く」


愛撫で慣らされたそこは、あの日よりは緩やかに私を受け入れた


「ひ…ん、ぁ!」


静かな室内を、淫らな水音が占領する


「んっんっ、んあ…!」


ぐちゃぐちゃと、トキの中を掻き回す
足を左右に目一杯広げさせて、より深く挿入する


「きゃ、あ!あぁん!」


徐々に腰を上下させる速度を上げていく
その度に、トキが悲鳴にも似た嬌声を上げる
トキの秘部を蹂躙しているのを、体全体で感じた


「クロツグさぁん…!あぁ、ぅん!……もっ、と!」

「君はっ、どこまで…私を裏切る気だ…っ?」


もっと、だなんて…


肉がぶつかる鈍い音が一際高く響けば、トキの体が大きくのけ反った
それと同時にトキの爪が私の背中に食い込んだ

その痛みさえ気にならない…

私に余裕が無くなっていくのが、分かった



力強く突き上げた、えぐるように

「…あぁ、あああ!」

「くっ…!」


もう、限界だ


イク寸前で、自身を引き抜こうとした

避妊具を付けていないんだ、せめて…


「だ、め……っ!」

「は、トキ…?!」


トキが、私の腰に足を回した
そのまま、足に力が込められ、締め付けられる



「止め、っ!」

「……ぅあ!……な、か、に!」

「トキ!」


腰に絡まる足は、依然取れない

このまま固定されては、腰を引く事も出来ず、中に…


ビクン!とトキの体が跳びはねた

それと同時に、トキの中がきつく締まった


「う、ぅ…!」

「……はぁっ!!」








上下に小刻みに揺れる私の腰


「…何を、するん、だ…!」


トキの秘部から、慌てて自身を引き抜いた

それと共に白濁色の液体が、大量に流れ出した


「……ん…ふっ……ぅ」


まだ息を整えられず、苦しそうにするトキ
そんな状態のトキを無理矢理抱き起こした



「…何が、したい?!私に何をしようとしてるんだ…!」

「…」


鋭い眼光でトキを睨みつける

「私に何か恨みでもあるのか!?」

ガクガクとトキの体を揺さ振る
苦痛の表情を浮かべるが、関係無い


「…さあ!トキ、君の望み通りにしたぞ!…どうしてこうなったか理由を教えてもらおうか!」


バンッ、とトキをベットに投げ出す
「うっ」と短く呻き声を上げた


「…早く言いなさい!」


今すぐにでも怒りでどうにかなりそうだった

あの夜された事で、既にトキを許す事は出来なかった

あの後、トキを引っつかんで、トキの家族に突き出し、私に謝らせる事だって出来た



だけど、そうしなかったのは



脳裏に焼き付く、トキの、昔の清純だった頃の姿が忘れられなかったからだ

あの日々が嘘だったとは思えなかった

あの頃、ジュンと共に成長していく様子を、本当の父親の気持ちで見守っていた



愛していた…



こんな汚れた感情じゃなくて




















「……ふ、あははははは…!」

「…!」


トキがゆっくりと体を起こす


何故、笑っているんだ


「…あ、はは………」

「トキ…?」


思わずトキに手を伸ばす

その手はトキに到達する前に、掴まれた

「トキ、」

尚もトキの口からは、笑い声が漏れていた


壊れてしまったのか?


「……クロツグさぁん」

「…な、何だ」



スッ、と掌を向けられる

まだ大人の手と言うには幼い手



「…あと、5回」

「え?」








「あと、5回……今日みたいにしてくれたら、理由を教えてあげますよ」

トキは、今まで見た事も無いような冷酷な顔でそう言った









理解不能、それ故恐ろしい





「因みに5回って、言い変えれば5日って意味ですからね」

そう言ってトキはまた笑った



あと5回も、こんな苦痛を味あわなければ、理由を教えてくれないのか















2009*03*05

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