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diverge 2





「俺、好きな人が出来たんだー」


幼なじみ、ジュンの突然の告白

驚いたというよりは、哀しかった




私はジュンが好きだった


小さい頃からずっと、ずっと…


















好きな人に好きな人が出来た

そんな現実に直面した時、人は非行に走る場合がある


私はその場合に当て嵌まった








矢のような雨が降る夜だった

まるで私の心中を、そのまま天のパレットに描いたようだった


途方もなく歩いた

悲痛な泣き声は、豪雨に掻き消された

涙は、雨に流された






いつの間にか行き着いたのは、バトルエリア

ヨロヨロと、その辺りを歩いていると、何かが視界に入った



「(……クロツグ、さん?)」



バトルフロンティアの入口で、激しく降る雨を眺めていた




脳裏に浮かぶ、言葉


「俺、好きな人が出来たんだ」


クロツグさんの顔を遠くから眺めていたら、涙が再び目に溢れた

残酷な程、私の好きな人に似ていた


「(当たり前か、ジュンの、お父さんなんだから…)」



そのうち、クロツグさんはバトルフロンティアの建物の中に消えて行った



「(居なくなっちゃった)」



居なく、なる



途端に現実に引き戻された

雨の音が耳をつんざく程、大きく聞こえた
























どうして、こんな事しようと思っただろうか

私は家に戻ると、いつぞやの男友達が冗談半分に持って来た「媚薬」を手に取った


もう閉館していたバトルフロンティアに、忘れ物をしたと嘘をついて侵入した

忘れ物を一緒に探してくれた職員の人は、途中で振り切った



バトルフロンティアに併設する建物、この最上階にクロツグさんが泊まっていると、ジュンに聞いた事がある


エレベーターで最上階に上がると、閑静なフロアに出る


ただっ広い場所に誰も居ない、不思議な感覚に襲われた


フロア内を探索していると、ポツンとドアが一つ

多分此処がクロツグさんの部屋なのだろう





「…トキ?」





振り返ると、当たり前だかクロツグさんが居た



嗚呼、私は………これからとんでもない事をしようとしている






























気付いたら、もう事を終えていた

私はクロツグさんを押し倒して、やった事も見た事もない、いやらしい事をした

ごく僅かな知識を総動員して、拙い手つきでクロツグさんを犯した





途中から、私にも罪悪感が芽生えて、無駄な事だとは思ったが謝ろうとした


「あ、あの…クロツグ、さん」


目隠しをゆっくりと取ったクロツグさんは、私同様に息を切らしていた

頬が僅かに赤く染まっていて、艶やかな雰囲気を醸し出していた


「…トキ…」


名前を呼ばれた瞬間に、体が震えた

怒られる、レベルじゃないだろう

ギュッと目をつぶる
殴られるかも、しれない

でも、自業自得
寧ろ、した事は犯罪だ






突如視界は反転して、私の目の前にはクロツグさんと天井が見えた


「…?!」


スカートの中に、手を入れられる感覚

「クロツグさん…!」


事既に遅し

私は、クロツグさんと肉体関係を持ってしまった










始めは衝動で、やった事だった

ジュンが好きで、その届かぬ面影を求めてクロツグさんに手を出した

クロツグさんは真面目な人だから、私がこんな酷い事をしたらそれ相当の処分をすると思ってた











軌道は大きく逸れて、






そう、この日から

私とクロツグさんの背徳の日々が始まったんだ










2009*03*04

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あきゅろす。
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