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幸せ家族計画



天気は快晴


旅立ちの日には、絶好日和

そう、今日は愛しい愛しい我が息子の旅立ちの日なのだ







「ハンカチ持った?」

「…遠足じゃないんだから!」

「持ったの?」

「持ったよ、ママ」

「ティッシュは?」

「大丈夫だよ、トキ…昨日僕が必要な物は確認して詰めたからさ」

「ヒョウタ」

「パパ!」

「もう、持ち物は完璧だよ。ほら、そろそろ行くよ」








私とヒョウタの息子は、今年で12歳になった

12歳でリーグ挑戦って、ちょっと早い気がしたけど、本人たっての希望だったから、行かせる事にしたの



「一日一回はちゃんと連絡するのよ」

「分かってるよ」

「トキは心配性だね」

「だって!ヒョウタは心配じゃないの?!」

「そりゃあ心配さ、大事な一人息子だしね。…でも僕と君の子供だよ?きっと無事にリーグ優勝するさ」

「………」

「ママ、心配しないで。僕には最高の相棒がいるから!」

「…え?」



『ズガー』



「…ズガイ…ドス?」

我が息子の足元をクルクルと嬉しそうに走り回るズガイドス



「パパがくれたんだ!」

「シーッ!」

「………ヒョウタ、が?」

『ズガ、ズガー!』

どういう事?
この子には私から初めてのポケモンをあげるって決めていたのに…




まさか




「…このズガイドスは何かしら?ヒョウタ」

「えーっと………」



いやね、ズガイドスは私も好きよ?
息子と戯れる姿は、まさに天使のようだわ

でも、



「……ははーん…ヒョウタは約束破ったわけね…?」

「ち、違うんだ!」

「何が違う、よ!この大嘘つき!!!」









12年前、私とヒョウタが結婚する時

「ヒョウター、結婚しても良いけど……条件がある」

「トキが僕と結婚してくれるなら何でも聞くよ!」

「…子供ができたらね、その子、水ポケモン使いにしたいの!」

「え?」

「…ほら、私が水ポケモン使いだからさ。自分の子供がリーグ挑戦する時には、私から初めてのポケモンをあげたいの、水ポケモンをね」

「…うん、良いよ」

「ホント?!やったー!……よし、私ヒョウタと結婚する!」



って…






「結婚詐欺じゃないの!」

「け、結婚詐欺って、そんな大袈裟な…」

「あの時約束してくれたじゃない!この子を水ポケモン使いにするって」

「ご、ごめん!でもっ、どうしても僕が発掘したズガイドスを使ってほしかったんだ!」

「だからって…」


酷い、酷いわ!
12年越しの私の夢を返して!

ヒョウタと結婚したのは、そりゃあ、子供を水ポケモン使いにする事を承諾してくれたからだけじゃないけど…



「ズガイドスー!こっちこっちー!」

『ズガズガ!』

「あははは!速い速い!」



……もう、すっかり仲良くなってるし…







「…トキ…………離婚?」

「…してほしい?」

「嫌です!!!」

「…するわけないでしょ、嘘つきヒョーウタ」

「ゔ…ホントごめん…」






もういいや、息子ができたのはヒョウタのおかげだし

それだけで、幸せ



「トキ、ホントにホントにごめん!」

「……」


それにしても、何たってヘタレなのかしら?私の旦那様は


「トキ〜、機嫌直してよ」

「………もう、いいって…怒ってないから」

「…」

「悲しそうな顔しないでよ!私が悪いみたいじゃない」


また、ヒョウタがごめんと呟いた

もういいって言ってるのに!







「ママー!パパー!」

息子が走って来る、ズガイドスと共に

今日は息子の記念すべき旅立ちなのだ

グダクダ言うのはもう止めよう








「…あの子、貴方そっくり」

「え?」

「何でもない」


いつも真っ直ぐで、頑張り屋さんで


それでいて、優しくて



「ママ、パパ、僕もう行くよ!」

「そうかい?気をつけてね」

「うん!パパのズガイドスより僕のズガイドスは強くなるからね!」

「ハハハ、じゃあ強くなったらバトルしようか」

「絶対だからね!」

「楽しみだなぁ」


全く、我が息子ながら逞しいこと

こんなところはヒョウタじゃなくて、私に似たのかしら



「ママ!」

「ん?…何、忘れ物?」

「違うよ!………いってきます!!」

「………いってらっしゃい、気をつけるのよ」

「ママ大好きだよ!僕頑張るから!」



そう言って我が息子は旅立って行った

初めてのポケモン、相棒のズガイドスと一緒に


















「あーあ、見えなくなっちゃった」

「…」

「トキ?……泣いてるの?」

「息子の旅立ちに泣かない親がいる?!…もう心配になってきた」

「早いよ!…だから、大丈夫だって、あの子は強いから」

「分かってるけど、水ポケモン無しで平気かしら?」

「ハハ…まだ気にしてるのかい」

「ヒョウタもさぁ…発掘したポケモンあげるんなら……オムナイトとかいるじゃない」

「そういえば」

「そういえばじゃないよー……はぁ」

「でもズガイドスは強いポケモンだよ、攻撃力高いし。攻撃こそ最大の防御!だしね」

「…でも、一直線じゃない………私は水ポケモンの戦略性溢れた戦いをあの子にしてほしかったのに」

「そのうち水ポケモンも仲間にするよ」

「…そうね、それに期待するわ」


それにしても、オムナイトは捨て難かったわ…!同じ化石じゃん!化石で水で良いじゃん!








「トキ、」

「何、ヒョウ、んっ…!」


ヒョウタがいきなりキスをしてきた


な、ななな、何事?!!!


「、っふぁ!…何!」

「良い事思い付いたよ僕」

「は?」





「もう一人子供作って、その子を水ポケモン使いにすればいいんだよ!」


次は約束するから!とヒョウタは付け加えた



ああ…ヒョウタ……











貴方って人は








「…そーねー……次こそは約束守ってもらうわよ」

「絶対絶対守るよ、トキ」

「はいはい」



こんな調子の旦那様ですが


私の最愛の人なのです













2009*02*19
空気さまに捧げます(>_<)
駄作ですみません!!!


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あきゅろす。
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