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君は笑っている方がキレイ





風に乗って聞こえる君の泣き声

今日も何処かで君が泣いている









「トキ、また泣いてるの」

「は、ヒョ、ウタ」

「しかも、さぁ」

彼女の腕には無数の引っ掻き傷
まだ真新しい、血がとめどなく流れている


「……どっか行って」

「こんな危ない人、置いておけないよ」

「どこが危ないのよ!私の、どこが…ッッ」

ヒステリックに叫ぶ彼女

こうなったら落ち着くまで暫くかかる

「…帰ろう?」

「帰らない、どっか行けって言ってるのが聞こえないの!」

「でも、此処鉱山だしさ。まだ整備されてない所も多いから、危ないよ」

「危ない人間には危ない場所が似合うでしょ?」


アハハハ!と彼女は高らかに笑った





「…ホントにさ、今回は何があったの?」

「ヒョウタには関係無い」

「関係無いなら僕に聞こえる場所で泣かないでよ」

「…ッッ!」



彼女はまた涙をぽろぽろ流して、爪を自分の腕に立てた
呻き声をあげながらも、何かを喋っている


「…誰か…私を殺し、て」

「誰も殺さないよ、トキ」

「…生きてるの、つらい」

「トキだけじゃない」

「ヒョウタには分からないよ!」

「………あ、分かった。またフラれたんでしょ」


今回は誰かな?なんて、楽しげに聞けば、彼女はまた無言で腕に傷を作り始めた


「はいはいはいはい、図星突かれたからって引っ掻かない」

「…ヒョウタ嫌い、ホント嫌い大嫌い」

「僕はトキの事好きなんだけどなあ」

「私はデンジ君が好き、ゴヨウさんが好き、リョウ君もバク君もゲンさんも」

「でも、僕は嫌いなんでしょ」

「そう、嫌い」


彼女は無類の男好き
見た目も可愛いし、普通ならモテる筈なんだけど


「ヒョウタに好かれても意味無い」

「僕しか、好きにならないよ君の事」

「私、ただ愛されたいだけなのに、皆なんで私の事避ける、の」

そりゃね、付き合ったら他の人と一切話しちゃ駄目だとか、自分の側から一時も離れちゃ駄目だとか、そんな無理難題を突き付ける人とは普通の人は付き合わないでしょ

そう、普通の人には無理


「君の噂は色んな所に溢れてる、勿論良いものじゃないよ」

「誰がそんな事!」

「自分だよ」



自分で撒いたのさ




でも、君の悪い噂がどんどん流れて
君から人が離れれば離れる程


僕には好都合







「トキー、そろそろ何時ものように観念したらどう?」

「…」

「ホントはもう、自分を傷付けてるだけじゃ、孤独感は拭えなくなってるんでしょ?」


彼女の爪が腕中に傷を作って、もう傷付ける場所が無いくらい


「ね、早くおいで」

「……ヒョウ、タ」

「何かな」

「…何時もの、頂戴」


彼女の唇が僕の唇と重なった








…全く、彼女は


難しいのやら簡単なのやら



「そうそう、トキは笑って素直な方がモテるよ」

「ホント?」



にこっと笑う
僕以外の男の事を想像して


だけどやっぱり







君は笑っている方がキレイ









もう次期彼女は全ての人に見放される

そうなったら僕の一人勝ち

君が男に望んだ事を

僕が君にしてあげるよ












2009*02*13
今までで一番の駄作出来た^^
ヤンデレ大好きだから、これを教訓に次頑張ります



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