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「サボリですか」
影がさす。空が遮られる。
「お前もだろ」
「おれはちゃんと休憩時間ですよ。飛空艇部隊所属が公安オフィスの屋上で寝てるのは明らかにサボリでしょ」
「まあな」
身をおこす。煙草をくわえた途端さらわれる。
「おい」
「口止め料」
深く煙を吸い込む様子に返す気配は見えず、煙草をもう一本取り出す。
「なに、」
隣に腰を下ろした男を引き寄せる。肌は触れない接触。ジジ、と微かな音と共に炎がうつる。
「お前ハタチで禁煙したって言ってなかったっけ」
「たまにはいいじゃないですか」
「ロッシュが気にするんじゃねえの」
「あー…しまった。歯、磨きます。久しぶりすぎて忘れてた」
「念入りにしろよ、あいつ鋭いから」
「お陰で随分キヨラカな生活になってきましたよ」
「お前が?」
「おれが。あなたもそうだったんじゃないんですか」
「や、俺ははなからこういう奴って認識されてたみたいだし。そんなに。あれだな、身内はかわいい」
「え、」
色素の薄い肌にみるみるうちに血の色が上る。
驚いて向き直った頭をぐしゃぐしゃとかき回す。
「じゃあな」
短くなった紙巻きを押し付けて立ち上がる。
「え、おれ灰皿持ってない」
「全部ファイアで燃やしてそこのプランターの肥料にしろよ」
指さす先には白い花。

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あきゅろす。
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