[携帯モード] [URL送信]

NR
執事ロッシュ
ロッシュは執事です。
ご主人様は准将。


「ロッシュ君、カフスを留めてくれないか」
「イエス、サー」
カフスくらいひとりで着けられるのではないだろうか。執事の職務なのだからもちろん果たすまでなのだが、ロッシュは少々疑問だった。
「これだ」
示されたのはチェーンカフス。どうやってもひとりで着けられるわけがない。
「…お着けします」
椅子に座るレインズに近づき、跪いて主人の手を取る。
「…なにか」
手を動かしていると視線を感じ、問いかける。
「いや、キスマークでもついていないものかと」
「…は!?」
「君は色が白いから痕をつけると目立つだろうな」
頷くレインズ。
「おいで」
顎を持ち上げられる。ロッシュもけして背が低いわけではない。むしろかなりの長身だが、レインズはさらに背が高い。加えて今はロッシュが膝をついている。
軽い音を立ててタイが解かれ、
「何をしていらっしゃるのかしら」
「……ジル。邪魔をしないでくれないか」
この屋敷の女主人が現れた。
完全に恐慌状態で動けなくなっていたロッシュの目には女神に見えた。
「嫌です。ロッシュには」
メガネがはずされる。
「私がキスマークをつけるんですから!」
魔女の間違いだった。

朝食を運んできたリグディは、今日も平和で何よりだ、とあくびをした。


[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!