NR
紛れ込んだ
｢落としたわよ｣
振り返るとナバートにファイルを突きつけられた｡午後の授業が始まる直前だ｡午前が終わってすぐ､見あたらなくなっていたので探していた｡
｢ありがとう｣
｢気をつけるのね｣
あっさりと通り過ぎる彼女を見送って､ページを繰ると､薄桃色の紙が1枚｡首を傾げていると､級友に取り上げられた｡
｢真面目な顔してやっぱ気になるんだろ､あのファルシ――のお守り！｣
それは女子学生の間で有名な恋愛祈願のファルシで､だが自分は興味がなく､このファイルを持っていたのはナバートで｡そこまで考えてロッシュの頭は沸騰し､午後の授業は過ぎていった｡
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