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妄想圏外区域
A


優しくて温かいぬくもりが頭の上を行き来する。

撫でられている、と朧げに浮上した意識でぼんやりと理解した。

昔僕が風邪をひいた時、母さんはいつも僕の傍でこうやって撫でていてくれた。
風邪が移ると言っても聞いてくれなくて、僕が淋しくないようにずっと、ずっと。

優しい手の感触がすっと頬に滑るのが分かった。
少し低温の肌が僕の熱を冷やしてくれて心地よい。

ゆっくりと自分の手を動かして、その手に触れる。
ぴく、と反応したのが直に伝わった。


「…母さん」


無意識の内にぽつりと零れた言葉に、


「……残念だけど僕はフブキ君の恋人にはなれても母親にはなれないかな」


返ってきたのは困ったような吸血鬼の…………吸血鬼!?


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あきゅろす。
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