妄想圏外区域
②
｢…なんか今日の飲み物、不思議な匂いがするね｣
フブキ君の言葉に一瞬どきりとしたけど、後ろに控えていたガゼルが直ぐさまフォローを入れてくれた。
｢いつも水だと味気ないかと思ってな。私なりのジュースを作ってみた｣
｢そんなことガゼル君が気にしなくていいのに｣
ガゼル君が、の所をやけに強調して僕を睨みつけてくるフブキ君。微笑み返してあげたらフォークが飛んできた。全く、フブキ君の照れ隠しは暴力的だなぁ。
｢…はぁ。じゃあ有り難く貰うね、ガゼル君｣
グラスに注がれた無色透明の液体…、僕がとあるルートで手に入れたアルコール濃度の高いお酒がこくこくと飲み干されていく。
フブキ君がザルなんてオチは絶対認めない。
酔っ払って思考が定まらなくなったフブキ君が僕にべたべたしてくるオチしか認めてあげないよ！
｢…う、何これ……頭フラフラする…｣
｢だ、大丈夫かフブキ？｣
おっと、もう効き目が現れ出したみたいだ。ここでさりげなくフブキ君に近づいて…。
──ぎゅううぅ
そうそう、こんな風に抱き付いてく………、…ん？
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