追慕
01
暑い日が続いている
いつもと同じ青い空と白い雲の下
ある異変にシオンは違和感を感じていた
異変というのは
この船から先程から観察できる船
それは最近よく耳にする海賊達
いわゆる極悪非道が目立つやつららしい
まあ別にそんなことは問題じゃない
白髭海賊団
そう聞けば誰でも無視できないだろう
この海を仕切るにふさわしい名前
シオンの今いる船はそんな威厳をもっている
とはいえ彼女は別にその船の一員と言うわけではない
親父には娘のようなもんだといわれている
シオンだってみんなのことが大好き
だけど、正式な仲間入りには遠慮させてもらっている
「あの船、なにかおかしいな」
そういうマルコはそれでも落ち着いた表情でつぶやいた
「そうなの、目の前に白髭海賊団がいるっていうのに、なんかそれに気がついていないっていうか、それどころじゃなって感じの雰囲気ね」
そう言ったところでふと
マルコが小さく笑っているのに気がつく
「なに、私変なこと言った?」
「いや、初めてシオンと出会った日を思い出してね。
あのときのおまえ、俺達を前にしても大胆不敵って感じで、なんの物怖じもしないで向かってきたよな。」
「…そうな感じだった?」
「ああ。忘れねぇよい、あんな出会い。」
そう言いつつもマルコは
その出会いは幸運のひとつだと思っている
それが表情にでてしまい
マルコが優しく笑うので
シオンもなんだか嬉しくなった
たとえ正式な仲間じゃなくても
大切だと思える人達がいる
それはなんて幸せなことなんだろう
遠くで響いた爆発音が
シオンをそんな思考から現実へ引き戻した
順風満帆な世界
(引き戻して、そして、引き離していく)
つぎ
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