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Oh!My?Son!?
息子、離れる
好きな人が出来た。
双子だからわかる。
シズマが、俺以外を想う・・・?





俺たちは双子だって言っても、ぜんぜん似てない。
顔だって、髪も目も、性格も。
みんなみんな違っていた。
ただひとつ同じだったこととは、お互いがお互いを一番好きだって事だけで・・・
それももう、違ってしまったのだけれど。

シズマは今日、朝から着飾ってご機嫌に出かけて行った。
鼻唄も、何日も前からずっと歌ってた。
昨日だって明日の準備だとかで、遅くまで起きていろいろしていたのを覚えてる。
それで今朝少し寝坊して、朝食を我慢してお洒落して……
なぜだか無性にイライラする。

シズマの一番はいつだって俺で、シズマはいつだって俺のそばに居る。
それがないだけで、こうも違和感を感じるなんて思ってなかった。

精神を落ち着かせるために、書庫の端から順に開いていく。
けれどどれだけ読み進めても、腹の奥底からわきあがってくる感情が消えない。
力任せに本を投げ飛ばすと、それをキャッチしてこっちを見ている両親を無視して家を飛び出した。



なんだって、たかが弟にこんなに苦労してるんだろうか。
あんなバカ、どうだっていいのに。

ナツルは適当に歩き回っていると、ふと耳を霞めた声。
いつ、どこに居ても、どうしても耳には言ってきてしまう声。
そちらへと顔を向ければ、楽しげに誰かと買い物をしているシズマが居た。
なんで、そんなに楽しそうなんだ?
なんで、俺の知らない奴と居る?

そっちを見ていたら、誰かにぶつかってしまった。
怒りそのままに、そいつへと殺気を飛ばしながら睨み付ける。

「ん?なんだ、双子兄か」
「・・・うちは兄か」

相手を見た途端、互いにため息を吐き出す。
二人はあまり仲が良くなかった。
なんとなく、ただなんとなく、互いにそりが合わないだけでたいした原因はないのだけれど。

けれど誰にでも当たり散らかしてしまいたいナツルにとって、それはかっこうの獲物だった。
ぐいっと襟首を掴み、締め上げるとそのまま自分の方へと引き寄せる。

「付き合え、うちは兄」
「ふん。つまらん術なら、すべて打ち返してやろう」

互いに挑発しあうと、そのまま演習場へと消え去った。
今までもこうやっていた事はある。
いくつも年上の相手を敬いも臆しもせず、ナツルはイタチを挑発していた。
そのまま二人で散々戦うため、周りからは喧嘩するほどなんとやらなんて笑われている。
しかしそれがまた彼らを煽って、彼らの戦いは毎度エスカレートの一途をたどっていた。





・・・何やってるんだ、俺。
いつもの調子が出なくて、今日は散々にやられてしまた。
べたっと地面に寝そべっていると、すぐ傍に降り立ったイタチがナツルを見下ろして鼻で笑う。

「無様だな。その程度か」
「うるせぇよ・・・」
「弟とは、可愛いものだな」

ふいにイタチが話題を切り替えて、ナツルはぽかんとその顔を見上げる。
けれど日の光に遮られて、影しか見えやしない。
そのまま次の言葉を待っていた。

「何をしていても、していなくても。弟とは可愛いものだ。離れれば……寂しくて苦しいくらいに」
「お前・・・見てたのか」
「さあな」

飛び起きたナツルに背を向け、イタチは飛び去る。
その背を追う気にもなれなくて、ナツルは再び地面に背を戻した。
ぼんやりと空を見上げると、盛大なため息がひとつもれ出ていく。

あいつ、何してんだろ。
俺から離れて、どこへ行くんだろう。
いつか離れるなんて、とうに知っていた事なのに。
もうこんな年で、互いに依存もないだろう……?

「なら、なんで・・・こんな」

心臓が痛いんだ。





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イタチが大人気無っ!!って訳ではなく、たぶんナツルに付き合って?合わせて?るんだと思います。・・・たぶん…?

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あきゅろす。
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