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彼らと私



部活で紹介するからと幸村くんに言われて初めてやって来たテニス部部室。ただ入るだけなのにとても緊張する。


「こ、こんにちは、みょうじですけど。」


ドアの前でノックをして入っていいか尋ねるとあ、やっときた。入ってきてー。というやたら間延びした幸村くんの声が聞こえた。


「失礼します。」


「ようこそ、テニス部へ。なんちゃって。」


てへっと舌を出しながら言う幸村くんは可愛いかった。私がやったら気持ち悪いだけなのにどうしてこうも違うのだろう。しかし本日二度目のこれに軽い苛立ちを覚えるのは仕方のないことだと思う。


「なまえちゃん!」


「あ、美香ちゃん。」


美香ちゃんは急いで来たのか少し息がきれていた。走って少し髪が乱れてるのに美香ちゃんは可愛い。この差はなんなんだろう。


「さて、と美香も来たことだし始めますか。」


「は、始めるって何を…」


「みょうじの歓迎会と自己紹介だぜぃ。」


「あ、丸井くん。」


「よっす、新しいマネってお前だったんだな。歓迎するぜぃ。」


「ありがとう。」


「丸井だけ抜け駆けは許さんぜよ。のお、みょうじ。」


「ににににに仁王くん、近いよ。」


「やっぱりおもろい奴じゃ。」


すりすりとすり寄ってくる仁王くんに他の人達の視線を激しく感じる。隣で丸井くんは仁王くんに怒ってるし。ものすごく居心地が悪い。


「いい加減にせんか!」


部室内に怒声が響き渡る。皇帝、真田弦一郎くんだ。恐い人だと知っていたけれどここまで恐いとは。真田くんは、男女不純交際とは何事だ、とかここは部室だぞとかとにかくものすごく怒っていて、泣きたくなってきた。


「弦一郎、そこまでにしておけ。みょうじが泣いている。」


ポロポロと涙が出てきてしまった。柳くんは私を仁王くんから引き剥がすとよしよしと頭を撫でながら背中もさすってくれた。それに自分は本当に情けないと思った。サポートする側は私なのに初日からみんなに迷惑をかけてしまうとは。


「真田、お前のせいでみょうじさんが泣いたじゃないか。」


「す、すまないみょうじ。」


「ほれみょうじ、参謀やのうて俺の胸に来んしゃい。」


「美味しいガムがあるぜぃ。」


みんな思い思いの言葉で慰めてくれた。そのどれもがなんだか可笑しくて思わず笑ってしまった。


「ふふふっ、」


「やっと笑った。」


「え?」


「なんでもないよ。それじゃあ始めようか。」


みんなから自己紹介をしてもらって、歓迎会をしてもらった。とても楽しくて、この部に入って、ううん入れてもらえて良かったなと思った。





























彼らと私
(今日からよろしくお願いします)


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