早起きをした朝に
今日はいつもより早く学校を出てみた。空が晴れてて気持ちいいしたまにはこんな日もいいかと思って。学校に行く道を少しだけ遠回りして歩いていると反対側から柳くんが歩いてきた。
「あ、柳くんおはよう。」
「ああ、おはよう。今日は早いのだな。」
「うん、早起きしちゃって。柳くんはいつもこの時間なの?」
「いや、いつもは朝練があるのでな今日より早い。」
朝練か、すごいな。ずっと帰宅部な私には縁のない言葉だ。
「仁王?」
「え?」
「よお、参謀。彼女と仲良く登校かの。」
私達の前に歩いてきたのは仁王雅治くんだった。本物の仁王くんもやっぱり銀髪でちょっとびっくり。
「ん、なんじゃ人の顔をじろじろと。」
「あっ、ごめんね。綺麗な銀髪だったから、つい。」
やってしまった。なんだよ、ついって。いやでも仁王くんの髪は本当に綺麗だった。太陽の光に反射してキラキラしてるし、ブリーチをしているだろうに髪も傷んでない。
「のお、参謀。こいつおまんの彼女なんか。」
「違う、みょうじは友人だ。」
「え!」
「なんでお前さんが驚くんじゃ。」
「いや、私が友達でいいのかなと。」
「何わけのわからないことを言っている。俺達は友達だろう。」
柳くんは優しく笑うといつものように頭を撫でてくれた。友達、その響きに自然と顔が綻ぶ。
「参謀だけずるいぜよ。俺にも紹介してくんしゃい。」
「ああ、彼女はみょうじなまえさん。ひと月前に転入してきた人が居ただろう。彼女がその転入生だ。」
「よ、よろしくお願いします。」
ぺこりとお辞儀をすると上から重いなにかが覆い被さってきた。
「よろしく、俺は仁王雅治ナリ。みょうじはちっこいのお。」
「なっ、ひどい…うぅ、気にしてるのに。それに仁王くん、重いよ。」
「仁王、どいてやれ。みょうじが潰れる。」
「ちぇ、つまらんのお。じゃあこれで許しちゃる。」
そう言うと仁王くんは横から私にくっついてきた。
「ちょ、ちょちょちょちょちょ、におうくん。」
「ぶっ、ちょ言いすぎナリ。顔も真っ赤じゃ。」
おもろかと言いながらまだくっついている仁王くん。私にしたら全然面白くないし、私の心臓のためにも離れて欲しい。柳くんを助けを求めるような目で見ると、びりっと効果音のするような勢いで仁王くんを離してくれた。
「あまりみょうじに迷惑をかけるな。」
「プリっ。」
生プリっだ。学校まで私達3人は自分の好きなもののこととかテニスのこととかを話しながらゆっくりと学校に向かった。
早起きをした朝に
(私も部活に入ろうかな)
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