[通常モード] [URL送信]
非日常の中の日常



なんだかんだでそれからひと月が過ぎ、私は前となんら変わりのない日々を過ごしていた。ここがテニスの王子様の世界だということ以外は。気づいたのは部屋で学校のパンフレットを見た時だった。立海大付属中学校と書かれているそれに何か知っているような気がした。ページをめくっていくと部活の特色について書いてあるところがあった。私は我が目を疑った。そこに写っていたのは紛れもなくテニスの王子様に出てくる立海のテニス部レギュラー陣だった。昔からジャンプなどのマンガが好きな私はそれを知っていたのだ。嬉しい反面わけがわからなかった。あれからひと月経ったいまも私は彼らを見たことがない。いや、見たことはあるか。廊下を歩いているとすれ違ったりはするし、でもよくあるぶつかって恋が芽生える的な展開は訪れていない。


「なまえちゃんどうしたの?」


「え?あ、なんでもないよ。」


でもそれでいいと思う。私はこの世界で暮らしてく以上平和に過ごしたいし、こののんびりとした生活も気に入っている。友達も出来たし、文句のつけ所がないのだ。


「そうだ、なまえちゃん。今日テニス部の人達とお昼ご飯食べるんだけど…」


「そっか、わかった。」


「ごめんね。」


「大丈夫。」


一番仲の良い小笠原美香ちゃんはあのテニス部のマネージャーだ。美香ちゃんは女の私から見ても可愛いし、頑張り屋さんだし優しいし、頭もいいしでクラスの人気者。そんな子をテニス部がほっとかないのもわかる気がする。


「じゃあ、またあとでね。」


「うん。」


私はまだ知らなかった。ここがどうゆう所なのか、私がどんな立場なのか。
それを知った時、私が何をしなきゃいけないのかを。































非日常の中の日常
(こんな日が続くのだと思ってた)


[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!