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君と、練習試合



今日は約束をしていたまーくんの練習試合の日、張り切ってお弁当を作ってみた。喜んでくれるといいな。そういえば相手校は氷帝学園っていう所だって言ってた、なんかどっかで聞いたことあるような気がするんだよね。


「おっなまえじゃーん!何、仁王の応援?」


「うん、そうだよ。まーくん何処にいるのかな?」


「仁王なら確か…」


「まっるいくーん!!」


あれ?あのふわふわな金髪にブンちゃんに対してのあのテンションは、もしかしなくても。


「ジローちゃん!」


「あっ!なまえちゃん!久しぶりだC〜。」


「あははっくすぐったいよ。」


ジローちゃんが頬擦りをしてくる。ふわふわな髪の毛が鼻をかすめてとってもくすぐったい。でも今日は何で居るんだろう?いつも立海に来るかブンちゃんのお家に来るのに。


「何言ってんだなまえ。芥川は氷帝学園だぜぃ?今日の相手校だって教えただろ。」


「あっ!なるほど。」


だから聞き覚えがあったんだ。てことは今日はジローちゃんとブンちゃんの対戦が見れるのかな?二人がテニスやってる姿なんて久しぶりに見るよ、楽しみ。


「なまえちゃん。」


「まーくん!良かった、あのねお弁当…」


持ってきたんだよと言う前にものすごい力で腕を引かれてしまった。なんだかいつものまーくんとは違う感じがして、少しだけ恐い。


「まーくん…?」


まーくんは私の腕を引きながら無言で歩き出した。後ろでポカンとしているブンちゃんやジローちゃんにちゃんと応援言えなかったな。なんて冷静に頭で考えてるようだけれど、本当はどきどきしている。冷や汗だって出てきたかもしれない。


「おい芥川、お前仁王に殺されるぜぃ。」


「えっ?えっ?」


「仁王はなまえが好きなんだよ。あの態度じゃ多分お前がなまえに頬擦りしてるとこ見てたな。」


「マジで…ちょ、丸井くん俺どうしよっ!?」


二人がそんな事言ってたなんて知る由もなく、黙々と歩いていた。コートから大分離れた所で、まーくんがやっとこっちを見てくれた。


「……弁当は…」


「あっこれ!美味しくできてるかわからないけど…」


まーくんはやっぱり無言でそれを受け取った。私は彼に何か気の触ることでもしてしまったんだろうか。昨日まではいつも通りだったし…もう嫌になっちゃったのかな、友達でいることが。そう思ったら涙が溢れてきた。


「…芥川とはどんな関係なん?」


「…?ジローちゃんとはお友達だよ。」


「本当に?すっごく仲良しそうじゃった。」


「うん、本当に。ジローちゃんとはブンちゃんを通じて知り合って、仲はすごく良い、って私は思ってるけど本当にそれだけだよ。」


「…良かった……」


「え?」


「なんでもなか…ってなまえちゃんなんで泣いてるんじゃ!?」


「あっこここれは、まーくんに嫌われちゃったと思って悲しくなって…」


は、恥ずかしい。泣いてる所を見られるなんて!お願いだから止まってよ、私の涙。


「はっ?俺がなまえちゃんを嫌いなんてそんな、有り得んじゃろ。」


「だって、まーくん怒ってるみたいだったから…一言も喋ってくれないし。」


「そ、れは芥川がなまえちゃんにひっついててなまえちゃんも嬉しそうにしとるから…」


「?」


うぅ、あぁ、とまーくんは変な呻き声をあげて、もうよかっ!と一人で解決してしまった。何はともあれ嫌われてはいなかったみたいで、良かった。すごい安心したよ。ほっと一息ついたら体に温もりを感じた。


「芥川がなまえちゃんに抱きつくなら俺も抱きつく。」


「えぇー!」


ジローちゃんにされたようにまーくんも頬擦りをする。なんだか猫みたいだ。というかこんなことが立海の女の子達にバレたら私は殺されてしまうんじゃなかろうかと考えながら必死にまーくんに離れてくれるよう説得した。

























君と、練習試合
(お願いだから離れて!)(嫌じゃ)


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