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君と、寄り道



「なまえちゃん、今日暇か?」


隣のブンちゃんとお話していたらまーくんが聞いてきた。部活に入っていない私は勿論暇だったので、暇だよと答えると放課後遊ぶお誘いを受けた。


「なまえちゃんの好きそうな雑貨屋を見つけたきに。一緒に行かんか?」


雑貨屋…昨日一緒に下駄箱に行く間、大好きなぬいぐるみや小物の話をしたことを思い出した。


「うん!行きたい!」


「何々?お前らそんな仲良かったっけ?」


「昨日友達になったナリ。」


「へぇー…意外だな、なまえテニス部の奴ら苦手とか言ってなかったっけ?」


「ちょっとブンちゃん!また余計なことを…」


「そうゆうお前さんらも仲がよか。」


「おう。俺ら家が隣同士で幼なじみだぜぃ。」


「幼稚園の頃からずっと同じクラスなんだよ。」


私と隣に座ってる赤い髪の男の子、丸井ブン太くんは私の幼なじみ。ブンちゃんもテニス部ですっごくモテる。昔は格好いいっていうより可愛いかったのに、なんだか複雑な気分だ。


「ふーん。」


そう言ったきりまーくんは一言も喋らなくなってしまった。何か嫌なことでも無意識に言っちゃったのかな。
















「なまえちゃん行こ。」


廊下を歩いていると奇声やら驚いた声が聞こえる。それはそうか、なんてったって仁王雅治くんの隣に私が歩いているんだみんな不思議で仕方ないよね。でもやたら女の子達からの視線を感じる。違いますよ、私達ただのお友達ですからね。まーくんは気にもしてない様子でどんどん歩いて行く。もう歩き慣れたこの廊下をこんなに長く感じたのは初めてだ。途中女の子達に本気でガンつけられて泣きそうになったし。うぅ、恐いよ。
冷や汗をかきながらやっとの思いで外に出れた。この道は大通りに行く道かな?


「あっ!」


「どうしたんじゃ?」


ゲームセンターの外にあるUFOキャッチャーを見つけた。その中に私の大好きな猫さんと兎さんが居る。すっごく欲しい。


「可愛いなぁ。」


「あのぬいぐるみが欲しいんか?」


「うん。でも私あーゆうの苦手だから。」


毎回チャレンジしては、お小遣いの半分を無駄にしてしまう。しかもぬいぐるみはゲット出来ないで、だ。それにあの猫さんと兎さんは1メートル近くあって私じゃ絶対取れないようだった。行こうと足を進めたら、まーくんはちょっと待っててとあのゲームセンターに行ってしまった。まーくんも何か欲しいものがあったのかなと思いその辺をうろちょろしていたら、まーくんが戻ってきた。


「なまえちゃん!ほい。」


「まーくん、早かったね…って、え!?」


「これじゃろ、なまえちゃんの欲しかったぬいぐるみ。」


「うん…これまーくんが取ったの?」


「UFOキャッチャーは得意じゃからコツさえ掴めれば簡単に取れるぜよ。」


「…すごい。でもこれ本当にもらっていいの?折角取ったのに。」


「俺にぬいぐるみを集める趣味はなか、それにそれはなまえちゃんが欲しそうにしてたから取ったナリ。」


だからなまえちゃんのもの、と無邪気に笑うまーくんに少しだけときめいてしまった。顔が赤くなるのがわかる。恥ずかしいな。しかもまーくんはこれを天然でやってるから困る。あの女の子達はきっとまーくんのこうゆう所に惚れたんだね、納得納得。


「ありがとう、まーくん!大切にするね。」


「…どーいたまして…」


そのすぐ側にまーくんの言っていた雑貨屋さんがあって、そこはちょっと小さくて街の雑貨屋さんって感じだったけど、すごく可愛いものばかりが置いてあった。あ、あのネックレス可愛い!ふわぁーあのリボンも!あれこれ悩んで、見てる間まーくんは文句一つ言わずに付き合ってくれた。なんて優しいんだ!


「まーくん今日はありがとう!すっごく楽しかったよ。」


「それは良かったナリ。俺も楽しかった。」


「うーん…でも今日は私ばかり楽しんじゃったし、ぬいぐるみも2つももらっちゃったしなんかお礼させて。」


そんなんいらんよ、とやんわり断るまーくんにだめ!と一喝する。これじゃあ不公平だ、まぁ私が出来ることなんてたかがしれてるしお金だってあんましないから対したことはできないけど。


「じゃあ…今度の練習試合観に来てくれんか?い、い、嫌なら他のを考えるぜよ。」


あわあわと慌てて言うまーくんに笑いがこぼれる。なんでそんなに焦ってるんだろう。本当に面白いなぁ。


「うん、全然いいけど、そんなことでいいの?」


「そんなことじゃなか、俺なまえちゃん来てくれるんなら頑張る。」


嬉しそうに笑っているまーくんに、お弁当も作って行くよと言ったらクレープを買ってくれた。美味しいけどさ、私は別にクレープ買って欲しくて言ったわけじゃないんだよ。てかお礼がしたいのに、私はもらってばっかだ。


「じゃあ、まーくんまた明日ね。」


「おう、ばいばい。」


結局まーくんは家まで送ってくれて、それは彼の親友と言われている柳生くんのような紳士っぷりで正反対のようで実は似ているんだなぁと思った。
























君と、寄り道
(また少し)(仲良くなれた気がした)



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あきゅろす。
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